Business&Marketing Column

ホールディングス(持株会社)のステークホルダーとWebサイト

Webサイト

ターゲット

ホールディングス

2023.02.25

ホールディングス(持株会社)のステークフォルダーとWebサイト<メインイメージ>

先日、とあるホールディングス(持株会社)のWebサイトに関して、ちょっとした相談を受ける機会がありました。

あまりない機会でもありますので...今回のコラムでは、ホールディングスをテーマに、そのコミュニケーション戦略(重点ターゲット)とWebサイトについて、一般的な企業とのステークホルダーの違いや、ホールディングス各社の企業サイトの事例を踏まえつつ、簡単な考察を行ってみたいと思います。

1. 現在の企業とステークホルダーの関係

企業には、下図のように顧客、従業員、取引先を始めとする様々なステークホルダー(利害関係者)が存在します。

そして、近年は、グローバルにビジネスを展開する大企業でなくても、サプライチェーンの多様化・国際化などを通じて、企業活動が社会や環境に対して及ぼす影響が非常に広範囲化(→地球規模化[グローバル化])しています。

そのため、株主、顧客、従業員など直接的な関係を持つステークホルダーに加えて、言わば『グローバル社会』という、企業にとって、ふだんは意識することの少ない新たなステークフォルダーとの関係、そして対話が重視される社会になってきています。

企業とステークフォルダー

2. ホールディングス(持株会社)とは?

ホールディングス(持株会社)化は、企業グループの再編やM&Aなどを契機に行われることが多く、親会社(ホールディングス)は「経営戦略」に、子会社(事業会社)はそれぞれの「事業運営」に専念する*ことを目的とする企業グループの組織形態です。

* 純粋持株会社の場合

そのメリットは、次のようなものと言われています。

  • 〇 意思決定の迅速化
  • 〇 各事業ごとのリスク分散/経営責任の明確化
  • 〇 各事業に適した組織・人事制度の導入
  • 〇 M&Aの推進(防衛) など

そして、この「ホールディングス=グループ経営」「事業会社=事業運営」という親会社・子会社の役割分担に伴い、それぞれの企業を取り巻くステークホルダーとの関係にも、ホールディングス化特有の濃淡が生じるものと考えられます。

3. 事業会社、ホールディングスとステークホルダー

[事業会社]

各ステークホルダーとの関係で最も大きな影響は、「(支配的な)株主=ホールディングス(親会社)」という構図に一本化されることです。そのため、他の株主との関係を気にせず、事業運営に専心することが可能になります。

その他、大規模資金調達などグループ経営全般に関わる事項は、ホールディングスが主導的役割を担うことも多いため、「金融機関」「行政機関」などとの折衝・調整等の負担も軽減されるものと想定されます。

[ホールディングス]

逆に、ホールディングスは、「株主」との関係を基本一手に担うことになり、他にも「金融機関」「行政機関」との関係で、一定以上の役割を担うことが期待されています。

加えて、企業グループ全体が、社会や環境に対して影響を及ぼす度合いは、個々の企業より広範にわたるため、その立場上、必然的に『グローバル社会』への責任やコミュニケーションも、ホールディングスの重要課題に位置付けられるものとなります。

特に現在は、企業のグローバル社会への向き合い方自体が、「株主」「金融機関」などとの関係にも色濃く影響する時代になりつつあるため、この意味においても重要な役割になってきています。

4. ホールディングスとステークホルダー・コミュニケーション

ここまで述べてきたことを改めて図示したものが、下の図です。

ホールディングにとっては、“濃い赤”の外枠で示した「株主」「金融機関」「行政機関」とともに、『グローバル社会』が、コミュニケーション戦略の中核を占める(≒重点ターゲット)と言えるのではないでしょうか?

ホールディングス(持株会社)とステークフォルダー

一方、事業会社は、引き続き、事業運営の成否を左右する「顧客」「取引先」「従業員」などが中核的なステークホルダーとなります。

ただし、「従業員」に関しては、ホールディングス化のデメリットと言われている次の課題

  • △ 事業間連携の難しさ
  • △ 経営コストの増大

を解決しつつ、グループシナジーを発揮し持続的成長を遂げていくために、ホールディングス側からの積極的な働きかけも重要と考えられます。

特に、昨今、多くの企業でクリティカルな経営課題となっている「採用(→将来の従業員の確保)」への取り組みという観点では、さらに積極的なホールディングスの関与が求められる状況と言えるのではないでしょうか?

5. ホールディングスとWebサイト(参考例)

それではここから、ステークホルダーとのコミュニケーションメディアとしても欠かせないWebサイトについて、ホールディングス各社がどのようなWeb戦略を取っているのか?いくつかの事例を元に見ていきたいと思います。

なお今回は、B2C企業に比べて一般的に、認知度の劣る“B2B企業”の企業サイトを中心に取り上げていきます。

『クロス・マーケティンググループ』 - シンプルで実用的。採用を重視 -

[企業サイト]クロス・マーケティンググループ

最初に取り上げるのは、市場調査を中核にITソリューション(DX事業)を手掛ける『クロス・マーケティンググループ』です。

  • [コンテンツ] 企業・グループ情報、IR情報などを中心に非常にシンプル
  • [TOPページUI] TOPに数字で見るグループ情報を配置。採用情報(スペシャルサイト)へのリンクを分かりやすく

最近リニューアルを行っているサイトですが、やみくもに多面的なコンテンツの拡充といったことを志向していません。

その分、IR情報など「投資家」が求める情報へのアクセスのし易さや、「採用」を意識したシンプルなUIで、特定ターゲットの使い勝手(UX)を意識した企業サイトになっています。

『エンビプロ・ホールディングス』 - サステナビリティ(循環型社会貢献)を前面に -

[企業サイト]エンビプロ・ホールディングス

続いては、資源リサイクル(資源回収・再資源化)事業を中核とする『エンビプロ・ホールディングス』です。

  • [コンテンツ] サステナビリティがコンテンツの中核。事業紹介も循環型社会貢献に絡めて記述
  • [TOPページUI] メインメッセージ、メニュー構成などトータルで上記コンセプトを表現

事業内容が、サステナビリティに直結する会社ということもありますが、企業サイト全体で、サステナビリティを前面に「グローバル社会」への貢献を強力に打ち出していいます。

特定のステークホルダーに限らず、広く一般社会に向けて、(認知度向上の意図を含めて)企業価値を訴える戦略を取っている企業サイトになっています。
(同時に、「従業員」などインナーのステークホルダーに、社会的価値の啓蒙という面も期待しているように感じられるWebサイトです。)

『SBSホールディングス』 - グループ横断的なビジネス直結コンテンツ -

[企業サイト]SBSホールディングス

次に、3PL(物流一括受託)の大手で、ロジスティックスが主力事業の『SBSホールディングス』です。

  • [コンテンツ] 「ソリューション・事例」が特徴。 事業直結コンテンツをホールディングスでも中心に
  • [TOPページUI] PICK UPやグループ会社ニュースなど。各事業・サービスへのリンクを広範に配置

こちらの会社は、ホールディングスサイトでも、事業・サービスが主役のWebサイトになっています。
特に、グループ事業を“横断的に検索”できる「ソリューション・事例」が目立つように配置され、「(将来の)顧客」をコア・ターゲットとしたサイト構成が特徴です。

「顧客」との直接の関係は、主に各事業会社が担うこととは言え、企業グループの収益&成長基盤を各事業に依拠していることに変わりはありません。グループ事業に横串を差し、それをリードする役割をホールディングスが担うことも、当然の判断と言えるでしょう。

『ソニーグループ』 - グループ広報として - 

[企業サイト]ソニーグループ

最後に、B2C企業の例として『ソニーグループ』を掲載しておきます。

  • [コンテンツ] 幅広いコンテンツ群に加えて、グループ・アイデンティティを示す
  • [TOPページUI] 企業グループのトピックスを全画面に

多様な事業を営むソニーグループは、TOPページのほぼ全面を様々なトピックス(話題)で埋めるサイト創りをしています。

その他、コンテンツには、ホールディングスで一般的な「事業・製品」「グループについて」「投資家情報」などの他、『テクノロジー』『デザイン』と言った、ソニーのアイデンティティを示す情報を掲載しています。

まさに、グループ広報としての役割にフォーカスしたサイトになっていると思われます。

今回は、かなりマイナーなテーマだったと思いますが...いかがでしたでしょうか?
今ホールディングスに勤めていない皆様にとっても、企業サイトとステークホルダー(ターゲット戦略)の考え方の整理など、何らかの気づきとなっていれば幸いです。

当社では、コーポレートサイト・サービスサイト問わず、Web解析などデータに基づくWeb戦略策定の支援が可能です。もしご興味をいただければ、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください。

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