Survey Reports
採用サイトに新卒専用のグローバルメニューを用意している割合は、全体の66%。残りの28%は、採用共通メニューで対応。
Webサイト調査
採用サイト
UI
2023.02.01
企業のデジタル・マーケティング戦略支援なども手掛けるLifeTimeTechLabo Inc.では、(2024年度卒業予定者に対する)新卒採用の広報解禁が、今年も目前(3月1日)に迫る中、企業各社の「採用サイト」に対する取り組み動向を把握するため、採用情報のグローバルメニューに関し、UI構造・メニュー項目などに着目した独自調査を実施いたしました。
調査結果サマリー
- 採用情報のグローバルメニューを設置しているWebサイトの割合は、全体の94%。
- 採用情報のみの単独グローバルメニューを採用している割合は、全体の79%。企業情報メニュー下で2階建メニューを採用している割合は15%。
- 新卒採用専用のグローバルメニューを用意している割合は、全体の66%。残りの28%は、採用共通のメニューで対応。
- 新卒専用のハンバーガーメニューで、一覧(全表示)方式と折り畳み方式の採用割合は、それぞれ50%づつ。
- 新卒専用のメニュー数は、「20以上」が49%と半数近くを占める。一覧方式に限定すると「10未満」「10-20未満」「20以上」に比較的分散。
調査結果詳細
今回の調査では、ITエンジニアやデータサイエンティストなど理系人材の需要が増加している現状を鑑み、マイナビ社実施の「2023年卒就職企業人気ランキング 理系学生向けの総合ランキングTOP100」掲載企業100社の採用サイトを対象に、採用情報のグローバルメニューについて、レイアウト構造、ターゲット、メニューの表示方式、メニュー数などを調べる調査を行った。
なお、調査対象としたグローバルメニューの定義については、「日本語」「スマートフォン」での閲覧を前提に、次のとおりとした。
① 原則、ページヘッダー(最上部)に配置されているメニューで、採用情報各ページ共通の項目&構成となっているメニュー[単独グローバルメニュー]
② 採用情報がコーポレートサイト下で展開されている場合には、ページヘッダーの位置に限らず、採用情報各ページ共通の項目&構成となっているメニューで、①相当と考えられるメニュー*[2階建グローバルメニュー]
* この場合、必ずしもコーポレートサイト全体のグローバルメニュー直下に配置されているものに限らないものとした。
今回の調査では、まず最初に、採用情報のグローバルメニューの有無とレイアウト構造の確認から始めている。
その結果、グローバルメニューについては、(2024年新卒採用サイトオープン前の1社を含む)6社以外、94%のWebサイトでメニューの存在が確認できた。
また、そのレイアウト構造に関しては、単独グローバルメニューを採用している割合が、全体の79%、2階建メニューの割合が、15%となっていた。
* 新卒専用メニューと採用共通メニュー両方がある場合は、新卒専用メニューとしてカウント
* 新卒採用情報が、職種ごとのページに分かれている場合は、代表的な職種1つのページを調査
次に、新卒採用にターゲットを絞った専用グローバルメニューの有無について確認すると、全体の66%が新卒専用メニューを用意している一方で、28%は(キャリア採用なども対象とする)採用共通メニューを選択していた。
特定のターゲット(新卒採用)ユーザーに、シンプルかつ分かりやすいUIを提供できるという面では、「単独メニュー」×「新卒専用メニュー」の採用に優位性があると考えられ、今回の調査結果も、概ねその認識を裏付けるような(全体の過半を占める)結果となっていた。
一方で、「採用共通メニュー」の割合も全体の1/4超存在し、その採用例は「電気機器」「食品」「医薬」「化粧品」などの業種の企業で、比較的多く見受けられた。
これらも勘案すると、このメニュー採用の理由の一つは、グローバルなマーケットを主戦場とする企業が、日本語サイトにおいてもグローバルな採用活動とシンクロさせた採用サイト作りを志向したことにあると推定される状況であった。
<富士通の例>
また、「2階建メニュー」のレイアウト構造を採る企業も少数ながら(全体の15%)存在しており、これらの企業は、統一的な企業ブランドのイメージ浸透にプライオリティを置くなど、Web戦略上の判断があったものと考えられる。
ただ、この場合、ターゲット(採用)ユーザーにとっての分かりやすいUI提供という面では、構造上ややハンディキャップを負う形になるため、そのメニュー表現や配置などに工夫を凝らしている例が、一定数見受けられる状況であった。
<明治ホールディングスの例>
続いて、「新卒専用メニュー」に限定し、ハンバーガーメニュー(同等のメニュー含む)の表示方式とメニュー数を確認する調査を行った。
表示方式については、最初からすべてのメニュー項目を表示する一覧(全表示)方式と、メニュー項目を「+」シンボルなどにもう1段格納する折り畳み方式の採用割合が、それぞれ50%づつと同数に分かれていた。
また、格納するメニュー数に関しては、全体の49%が、20以上のメニュー項目となっていた。
これを表示方式別に確認すると、一覧(全表示)方式では、メニュー数が10未満の割合が、全体の21%と最も多くなっている一方、10-20未満、20以上の割合もそれぞれ10~20%存在し、メニュー数に特徴的な傾向はそれほど見受けられなかった。
対して、折り畳み方式の場合には、20以上の割合が全体の32%(この方式に対する割合は64%)と2/3近くを占め、逆に、10未満に割合が2%(1サイトのみ)とメニュー数が多い傾向が明確であった。
* [表示方式]メニュー項目の一部でも格納している場合は、折り畳み方式にカウント
* [メニュー数](Internship含む)Entry /MyPage などの応募必須メニューはカウントから除外
新卒採用は、概してメニュー数が多い傾向にあり、各企業がページ(コンテンツ)の充実に熱心な様子が反映される結果となっていた。
その分、(特に、スマートフォン画面での)メニュー数増加は、使い勝手の良いUI提供という面で、逆効果をもたらすことも多分にあり、そのバランスに課題を感じるWebサイトも多かった。
なお、メニュー数が多い場合に「折り畳み方式」の採用には必然性があるものの、一方で、この場合でも「一覧方式」を採用している新卒採用サイトが一定数存在し、その判断が分かれる結果となっている。
この点は、一覧方式の「一覧性」「クリック(タップ)し易さ」などのプラス面を折り畳み方式と比較考量した結果と考えられる。
また、そうした選択例では、メニューを2列に配置するなど、スクロール(スワイプ)量をできるだけ少なくしようとする努力が見受けられるWebサイトも散見された。
<旭化成の例>
一方で、10未満の少ないメニュー数を採用する例も、一定割合(全体の20%強)存在する。
ただし、これらサイト=ページ(コンテンツ)が少ない。ということは意味せず、グローバルメニュー上の滞留時間を少なくすることで、ページ(コンテンツ)そのものへの誘導を促し、その後は「コンテンツ内リンク」によって回遊を促進するという戦術的判断が多くの場合の理由と推定される。
<森永乳業の例>
最後に、「新卒専用メニュー」を対象に具体的なメニュー項目(内容)の調査を行っているが、ここでは時代の潮流(トレンド)を捉えたメニューを用意しているか?について、次の4つのキーワードで調べた結果を報告する。
○ ダイバーシティ(人の多様性)
○ サスティナビリティ(ESG、SDGs)
○ デジタルトランスフォーメーション(DX)
○ ニューノーマル(withコロナ)
結果は、ダイバーシティが15%、サスティナビリティが11%、デジタルトランスフォーメーションが6%、ニューノーマルが3%といずれも20%に満たない割合にとどまっていた。
この点、今回はメニュー調査のため、これ以外の採用サイトにも「当該コンテンツ」を掲載している例は多数あるものと推定しているが、今の時代背景を映した働き方の推進について「グローバルメニュー」という上位レイヤーで、ターゲットユーザーに訴求している企業は、まだ少数派と言える結果であった。
今回の調査では、上記以外のメニュー項目や「キャリア(経験者)採用サイト」についても簡単な調査を行っております。
また、当社では、採用サイトに限らず、企業様の戦略的なWebマーケティング支援の取り組みを行っております。
毎月社数限定で「個別無料相談会」も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせフォームからご相談・お問い合わせください。
調査概要
[採用サイト100]UI等のグローバルメニュー調査
調査方法 | 各社サイト訪問の上、目視による |
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調査期間 | 2023年1月16日 - 25日 |
調査対象 | 株式会社マイナビ実施 「2023年卒就職企業人気ランキング 理系学生向けの総合ランキングTOP100」 掲載企業:100社*のWebサイト * 国立病院機構を除く |
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