Business&Marketing Column
Web解析
GA4
探索レポート
2022.09.15
今回は、5月のコラムに続き、GA4に関する考察の2回目です。
前回のコラムで、Web行動解析の基軸が「セッション単位」→「ユーザー単位」へ変化した点が、GA4の大きなポイントという認識を記しましたが...それでは、ユーザー解析が基軸になることで、どのような指標やディメンションが新しく登場したのか?UAのレポートとも対比しながら、GA4の探索機能を少し掘り下げてみたいと思います。
1. [UA|デフォルト]レポートの基本指標(確認)
まず最初に、UAで使用されている基本指標を確認しておきたいと思います。
UAのデフォルト(既定)レポートでは、一部、サイトコンテンツ(ページ)関連の指標を除き、上のイメージ画像の各指標が使用されています。
左から...「ユーザー」「新規ユーザー」「セッション」「直帰率」「ページ/セッション」「平均セッション時間」「コンバージョン率」「目標の完了数」「目標値」が並んでいます。
2. [GA4|探索]UA対比のセッションレポート(参考例)
続いて、このUAのデフォルト指標相当のレポートをGA4の「探索」レポートで作成してみましょう。
概ね、下のイメージ画像のような指標を用いたレポートになるのではないかと思います。
このレポートをUAの各指標と比較すると次のようになります。
[GA4]セッションレポート(参考例) | [UA]デフォルト(既定)レポート |
---|---|
総ユーザー数 | ユーザー |
新規ユーザー数 | 新規ユーザー |
セッション | セッション |
エンゲージメント率 | 直帰率 |
セッションあたりのイベント数 * | ページ/セッション |
セッションあたりのユーザーエンゲージメント時間 | 平均セッション時間 |
セッションのコンバージョン率 | コンバージョン率 |
コンバージョン | 目標の完了数 |
(合計収益 *) | 目標値 |
*[補足]イメージ画像は、目標の「Value(通貨価値)」を設定していないプロパティのため、「合計収益」の項目は、設定しておりません。
*[補足追記]「セッションあたりのイベント数」の場合、設定により数値が大きく変動する可能性があります。また、「セッションあたりのページビュー数」の指標が追加されております。
3. [GA4|探索]セッション単位の新指標例
前項の表の各指標のうち、GA4で新たに採用された指標を用いた箇所が、赤字の箇所です。この項では、簡単にその指標の意味を説明しておきます。
1つ目『エンゲージメント率』は、「直帰率」に変わる新コンセプトの指標として、一時?業界の話題になったもので...「エンゲージメントのあったセッション数*」を、期間内のセッションの総数で割った値を意味します。
*[補足]エンゲージメントのあったセッションとは、次のいずれかに該当したセッションのことを言います。
・10秒を超えて継続したセッション
・コンバージョンイベントが発生したセッション
・2回以上のページビューもしくはスクリーンビューが発生したセッション
なお、前回コラムで「直帰率」は廃止と記しましたが...2022年6月に復活しています。
...ただし、指標の定義が「エンゲージメント率」の“逆数”と、UA時代の直帰率とは意味合いが異なっていますので...誤解を招かないよう「エンゲージメント率」を使用することを個人的にはおススメします。
2つ目『セッションあたりのイベント数』は、“ページビューも含む”すべてのイベントをカウントして、セッション数で割ったものになります。
...このコラム執筆時点では、UAの「ページ/セッション」に相当する「セッションあたりのビュー」のような指標が用意されていないため...もし、代替するのであれば、この指標を用いるのが現時点ではベターかと思われます。
(ちなみに、「セッションあたり...」ではなく「ユーザーあたりのビュー」という指標は用意されています。)
3つ目『セッションあたりのユーザーエンゲージメント時間』は、すべてのセッションを対象とするのではなく、“ウェブページがフォーカス状態にあった時間の長さ”に限定されている点が、UAの指標との違いです。
ココでは、UAのレポートをベースにGA4のセッションレポートを作成してみましたが...
もちろん、無理にUAをベースとするのではなく...解析目的や分析軸(ディメンション)により適切に計測する指標を適切に設定することが、本来の解析の姿かと思います。
とは言え、多くの企業様が長年慣れ親しんだUAを元に、基本となる探索レポートを作成しておくことも、計測点の継続性と比較の観点で、一定の意義はあるかと考えています。
4. [GA4|探索]ユーザーレポート(参考例)
さて、前項までは、セッション単位のレポートの置き換えの話をしてきましたが...
ココからいよいよGA4の特徴を活かす『ユーザー単位』のレポートとして、基本となるレポートにどのような指標を用いるのが適切か?ひとまず考えてみた参考例が、下のイメージ画像になります。
このレポートの各指標は、次のとおりとなっています。
[GA4]ユーザーレポート(参考例) |
---|
総ユーザー数 * |
新規ユーザー数 |
アクティブユーザー数 * |
ユーザーあたりの平均セッション数 |
ユーザーあたりの平均イベント数 |
セッションあたりのユーザーエンゲージメント時間 |
ユーザーコンバージョン率 |
コンバージョン |
(合計収益 *) |
*[補足]セッションレポートの項に同じ
*[補足追記]Webサイトの場合、「総ユーザー数」「アクティブユーザー数」は、概ね近しい値を示す傾向にあります。上記は、あくまでUAレポートがベースの参考例です。
他にも、「ユーザー獲得」の(既定)レポートで用いられているエンゲージメント関連の指標
・エンゲージのあったセッション数
・エンゲージメント率
・エンゲージのあったセッション数(1ユーザーあたり)
などを加えるのも良いかと思いますが...今回は、前項までのセッションレポートと共通の指標は、最低限に!ということで、上記のように設定してみました。
5. [GA4|探索]ユーザー単位の新指標例
この項でも、GA4の新指標、もしくはUAのレポートであまりなじみのないと思われる3つの指標(太字箇所)をピックアップしたいと思います。
1つ目『ユーザーあたりの平均セッション数』は、文字どおり、1ユーザーあたりのセッション数の平均のことです。
...この指標は、GA4の新指標ではありませんが...UAでは「ユーザー」→「概要」など一部に表示されていた程度です。意識して確認していた方もそこまで多くないのでは?との認識です。
2つ目『ユーザーあたりの平均イベント数』も指標としては文字どおりの意味になります。
...(自社サイトにとって、ポイントとなりうる閲覧動向などを)上手にイベント設定できる企業様にとっては、「...平均セッション数」以上に、有益な情報が得られる指標となりそうです。
→ そういう意味で、GA4設定→ユーザー解析の巧拙が問われる指標かも!?
3つ目『ユーザーコンバージョン率』は、まさに“目標に至ったユーザー数”をストレートに計測できる指標になっています。
...例えば、「セッションのコンバージョン率」は、検討を要する(1,2回程度の訪問では購入に至らない)商材を扱うWebサイトでは、値が低い傾向にあったと思いますが...そういう傾向もなくなり、的確に目的のユーザーを捉えられているか?の指標になりそうです。(ただし、レポートの期間設定には、注意が必要かと思われます。)
6. [GA4|探索]ユーザーレポートのディメンション
今回は、話の流れ上、指標とディメンションの順序が逆転してしまいましたが...
本来は、当然、解析目的に応じて「ユーザー」に紐づく分析軸(ディメンション)を選択した際に、これら、ユーザー軸の指標を用いたレポートを作成することになります。
例えば、今回のユーザーレポート(参考例)のイメージ画像では、「ユーザーの最初のデフォルト チャネルグループ」をディメンションに設定しています。
他にも、チャネルグループを1段階深掘りした「ユーザーの最初の参照元/メディア」などのディメンションが、GA4では新たに利用可能になっています。
なお、UAレポートでは「集客(セッション)」⇔「ユーザー」関連のレポートは、基本同じ指標が採用されています。
それに対して、GA4では「ユーザー」関連...例えば、性別/年齢などの「ユーザー属性」など解析する場合は、このようなユーザー単位の指標を用いた方が、より適切なものになると言えると思います。
一応、「性別」をディメンションに用いた、ユーザーレポートのイメージ画像も掲載しておきます。
以上、今回、GA4考察の第2段では、「指標」「ディメンション」を軸にコラムを書いてみました。多少なりとも皆さまの参考になっていましたでしょうか?
...次回、第3弾では、「セグメント」を中心に考察してみることをなんとなく考えています。...いつになるか?分かりませんが、ご興味いただければ、また、当コラムを覗いてみてください。
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