Business&Marketing Column
Webマーケティング
カスタマージャーニー
UX
2022.12.25
今回のテーマは、WebサイトのUI・UX改善。
今回は、今年よく依頼を受けることのあった、ある特徴を持つWebサイトの事例を踏まえつつ、マーケティング課題の解決につながるUI・UXの改善手法(カスタマージャーニーマップ活用)について、徒然と書いてみたいと思います。
1. 今回の対象Webサイトとその特徴
今年2022年は、(とある企業様の紹介で...)次のようなWebサイトのマーケティング課題解決のお手伝いをさせていただくことが何回かありました。
[業種]地域メディア
[サイト分類]申し込みサイト*
[マーケティング課題]コンバージョン(申し込み)率の向上
[受託内容]Web解析およびWebサイト改善提案
* ただし、Webサイト全体は、既存顧客向けコンテンツなども含む包括的なWebサイト
そして、このサイトの特徴は、基本的に『一度、申し込みを行うと、一定期間以上の長期契約が前提となるサービス』の申し込みサイトということです。
例えば...
○(電気・ガスなどの)生活インフラ
○(携帯・インターネット回線などの)通信インフラ
○(クレジットカードなどの)金融サービス
などの申し込みサイトが同様の特徴を持つWebサイトに該当すると思います。
2. ユーザー行動の特性に応じたWeb解析
課題解決に向けては、当然、ユーザー行動が蓄積されたWebデータの解析から始めています。
上記のような特徴を持つサイトの解析ポイントの一つは、「セッション単位」ではなく、「ユーザー単位」の解析を基軸に据えることです。
その理由は...
◎ ユーザーあたりのコンバージョン = 原則1回が基本
のため、「セッション単位」をベースにしてしまうと、改善ポイントの本質を見失ってしまう可能性があるためです。
実際、今回、私が解析を行ったWebサイトでも、“一定回数以上訪問するユーザー”のコンバージョン率がかなり高まる傾向が、共通項の結果として読み取れるものとなっていました。
そのため、例えば、次のイメージ図のようなユーザー行動が見られるWebサイトの場合、解析軸の取り方によっては、LPの「(セッション)コンバージョン率」「直帰率」の判断など、誤った解釈をしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
3. UI・UXの本質的課題改善に向けて
この結果に対して、当時のWebサイトは、(非常にザックリとですが...)次のようなUIレイアウトになっていました。
コンバージョンへの直接導線は、どのページでも分かりやすくグローバルメニューに位置づけられていたものの...
(一定の訪問回数を前提とする場合)この導線が使用されるシーンは、かなり最終局面の訪問に限られることになります。
つまり、実際は、(そこに至るまでの)回遊を促すユーザー導線が分かりづらかったことが、今回の一つの大きな阻害要因となっていました。
このように、適切な解析軸と手法を用いれば、多くの場合、Web解析だけでも問題点の所在をある程度明確にすることが可能です。
ただし、本当の課題は、ココから先、どのように具体的な改善案を導き出すか?にあると思います。
特に、今回のような場合...
Web上のデータでは、”各訪問の間に起こる”ユーザー行動が把握できないため、解析結果からのみでは、断片的なデータをもとに改善策を検討することになってしまいます。
そのため、その対策案が...
本当にユーザーが求めるサイトUI、そしてユーザー行動全体を踏まえたUXの最適化につながっているか?について、何度かトライ&エラーを重ねていく必要性が強まると捉えています。
(⇒ 効果を上げるスピードが、ナカナカ上がっていかない可能性がある!)
4. カスタマージャーニーマップの活用
こういう場合に、一度、検討をしておきたいのが、カスタマージャーニーマップの作成とその活用です。
カスタマージャーニーマップについては、改めて説明するまでもないかとは思いますが...
【 カスタマージャーニーマップとは? 】
商品・サービスとの関わりの中で、顧客が目的([短期的には]商品・サービスの購入など...)に至る体験全体を“旅”に例え、その顧客が目的に至る一連のプロセスを一枚の絵にとりまとめ、可視化したものです。
そして、そのメリットには...
○ 関係者間で、顧客(ユーザー)行動の共通認識化を図ることができる。
○ 顧客(ユーザー)行動に基づく、施策検討の原点とできる。
○ ユーザー行動全体を俯瞰することで、施策全体の最適化を目指すことができる。
などがあります。
特に、今回事例のWebサイトへの適用の場面では、”各訪問間”のユーザー行動(&意図)を埋め、コンバージョンに至るユーザー行動全体を一連の流れとして把握・理解することに役立つと考えます。
また、その作成にあたっても...
▽ Web上の行動データをベースに
▽ Web上のコンバージョン(申し込み)に至るまでの範囲にフォーカスすることで
ある程度無理なく、そして、一定レベルの精度を担保したカスタマージャーニーマップが作成できると考えます。
(...カスタマージャーニーマップの作成に正解はありませんので...あくまで、目的の範囲での実用レベルを目指すものとして)
5. ユーザー行動データの補完
それでは、”各訪問間”のユーザー行動データを埋めるにはどういう方法を用いるのが良いでしょうか?
基本は...
◎ ユーザーアンケート(インターネット調査)
アンケート対象は、自社会員等でサンプル数を集められるのであれば、それでもO.K.ですし...
そうでなければ、(調査会社などが保有する)アンケートモニターを利用すれば、比較的に簡単に実行に移せます。
(...費用を抑えたい場合は、セルフ型のアンケートサービスを利用しましょう。)
今回事例のようなWebサイトの場合では、ある程度、サービス検討過程での『自社サイト外の行動』に設問をフォーカスすることが可能ですので、アンケート(設問)設計も、比較的負荷が少なく考えやすいものとなっているのではないでしょうか?
もちろん...
○ ユーザーインタビュー
○ 行動観察
など「定性調査」を加えることができれば、よりユーザーのインサイトに迫るカスタマージャーニーマップ作成ができる可能性が高まります。
とはいえ、個人的には、(今回の目的と範囲では...)2つの『定量データ』を用いることで、十二分に実用的なマップ作りが可能と捉えています。
皆様も、まだ試されたことがなければ...WebサイトのUI・UXの効果的な改善に、カスタマージャーニーマップの活用を一度、検討されてみてはいかがでしょうか?
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