Business&Marketing Column

Webサイトリニューアルとペルソナ(ターゲティング手法考察)

Webサイト

ペルソナ

ターゲティング

2022.07.15

コロナ禍が始まるちょっと前までは、少し離れていたWebサイト創りの実務に、ココ2-3年は、再び関わることが多くなってきました。
...しかも近年は、クライアントのマーケティング戦略支援に入っている等々の業務スタイル上...発注者(事業者)側として提案を受ける機会もあり、ちょっと楽しく仕事ができることも多くなっています♪♪...昔、受注者側として負け続けたコンペの記憶はやっぱりツライ(涙)...

そうしたサイトリニューアルの際に、Web制作会社の方から、まずは“ペルソナ”を作りましょう!という提案を受ける機会が、最近は多くなってきています。(...皆さんも同じでしょうか??)
ということで、今回は、ウェブサイト制作時のペルソナ作成(定義)について、個人的な考察を書いてみたいと思います。

1. ペルソナ作成のメリット

マーケティング用語としての“ペルソナ”自体に関しては、既に多くの皆さまがご存知かと思いますが、ものの本などによると...
ペルソナは、スイスの心理学者ユングの提唱した心理学用語で、もともとは仮面を意味する「Persona」という言葉を、人間の「外的側面」「内側に潜む自分」という概念として定義した。とのことのようです。

マーケティング用語としては、『商品・サービスを使用する典型的なユーザーを表すために作成された仮想的な人物像』のことを意味しています。

そして、ペルソナ作成のメリットは、目的となる個別の人物像の(インサイトなども含む)詳細に迫り、具体的な人物像を描き出すことで...
① ユーザー像について、関係メンバー間で、具体的かつ一貫した理解の共有を促進するのに役立つ
② ペルソナが代表する人物像(≒ユーザー)が求めるニーズに、より核心的かつ具体的に迫ることができる
③ ユーザーの抽象的なデータに、個別の人物イメージ(≒顔)を乗せることで、共感を持って考えやすくなる
ことなどと言われています。

ということから、ペルソナが活用できるか?の最も基礎となるポイントは、当然、“ターゲットとなるユーザー層をペルソナが的確に代表しているか?”ということになります。

ペルソナ作成の手法としては、「自社保有のユーザー(顧客)データ」や「市場調査データ」などからターゲットとなるユーザーセグメントを抽出し、そのセグメントに属する「幾人かのユーザーに対するインタビュー結果」などの定性的な情報を加えて、メンバー間で議論をしながら仮想の人物像を創り上げていくことなどが通例ではないかと思いますが...
これらのデータ(情報)を用いる手法では、ウェブサイトの目的や役割、マーケティングステップなどによっては、ペルソナの有効性が大きく異なると個人的に考えています。

そこで、次からは、いくつかのウェブサイトの分類ごとに、その有効性を考察していきたいと思います。

2. B2Cサービスサイトとペルソナ

最初に取り上げるのは、ECサイトなど一般消費者向けにウェブサイト上で各種商品・サービスを提供する事業系サイトです。

これらB2Cのサービスサイトは、ペルソナ創りとその社内(関係者)共有が、最もマーケティング的に有効に機能する可能性が高いウェブサイトと言えると思います。
特に、既に一定数以上の顧客を獲得し【顧客拡張/顧客深耕】が、マーケティングの中心課題となっているウェブサイトでは、多数の顧客データを基盤にセグメンテーションと人物像の検討を進められるため、よりターゲットとする顧客(ユーザー)像を的確に代表するペルソナ創りが可能と言えると思います。

他方で、幅広くリードへのリーチを狙う【探客】が主要フェーズのウェブサイトでは、(「市場調査データ」などを加えるにしても...)比較的まだ少ないユーザーデータ量の中で、ターゲットセグメントを特定し、さらに、そこから個別具体的な人物像までを描く。ということになります。
そのため、ミスリードを引き起こすペルソナ(人物像)を作成してしまう危険性が一定以上存在すると認識されるほか、さらに、作成したペルソナにマーケティングの方向性が縛られてしまうことで、多様な潜在顧客層へのリーチの可能性を閉ざすことにつながりかねない。と個人的には考えています。

もちろん、作成するペルソナは一体に限られるものではありませんが...定性的な情報への依存割合が高く、精度の曖昧な人物像を複数作成しても...多様化(もしくは分断化)する現在社会とその価値観の中では...その労力とコストに見合わない可能性が高いと思っています。

ちなみに、こうした段階にあるウェブサイトのリニューアルの関しては、無理にペルソナの作成はせず、(その分)早期オープン⇒早期マーケティング施策の積み重ね(≒トライ&エラーによるデータ蓄積)を目指す方が、個人的には、成功への近道と考えています。
...実際に、こうした手法で、リニューアル後、1年強程度の期間で、ユーザー数を5倍以上に増加できた事例なども当社では保有しています。

3. B2Bサービスサイトとペルソナ

続いては、上記と同じ、事業系サイトですが...企業などの事業者をターゲットとするウェブサイトについてです。

(個人事業主をターゲットとする場合などを除き)B2Bのサービスサイトでは、意思決定プロセスがユーザー個人に帰結しないことがほとんどです。

そういう特性を持つB2Bマーケティングを成功に導くためには...
● 属人的(個人)レイヤー
● 組織的(企業全体/部門)レイヤー
それぞれ両面での理解がかかせません。

ということは、当然ながら...人物像を描き出すことを主眼とするペルソナそのものの手法はあまり効果を持ちえません。

もしかしたら、それを応用する理論・手法なども存在するのかも知れませんが...過去、B2BのWebマーケティングにも関わった経験から言うと...例えば、同業種、同程度の社員数を抱える企業同士であっても、ガバナンス(組織制度、決裁権限のあり方etc)、企業文化などは、ホントに企業ごとに様々です。
そのため、ペルソナ的に企業像を描き出したとしても、それは、実際には当該個別の企業にしか適用できない。というのが私の実感です。

(ただし、過去に私が所属していたB2B向けサービス企業の中にも、ペルソナ信奉者⁉のような方は見かけましたので...もしかしたら、私の知見不足なのかも知れません...)

 

4. コーポレートサイトとペルソナ

最後に、コーポレート(企業)サイトです。

コーポレートサイトに関しては...何を主軸としてコンテンツを展開しているか?...などは各企業ごと様々に異なる面も多いかと思います。
ただし、当該企業に関わる「多種多様なステークフォルダー」に向けて情報を発信・提供している。という点は共通していると認識しています。

例えば...
● 直接的ステークフォルダーとして「顧客、取引先、社員、株主、金融機関など」
○ 間接的ステークフォルダーとして「地域・社会、行政・公的機関、一般消費者など」

この点、上述のサービスサイト同様にマーケティングを主眼とするサイトコンテンツにおいて、ペルソナを作成、活用することの有意性を否定するつもりは全くありませんが...コーポレートサイト全体を対象として、ペルソナを作成する。というような行為に関しては、異論を挟まざるを得ません。

特に、近年は、「SDGs」や「ESG投資」などのキーワードに代表されるように、企業にも幅広く、持続的な社会を構成する一員としての役割が、強く要請される時代になってきています。
...ということは、コーポレートサイトとしても、‘特定の顔の見える誰か’ というよりも、“顔の見えない誰かの存在”を前提に、より広く社会全体に向けての情報を発信していく。という姿勢が求められてきているように感じています。

こうした時代の要請の変化に対応して、また異なるアプローチ手法が、今後は、適宜コーポレートサイト創りに適用(応用)されていくことと考えています。

最後に「採用サイト」にも一言だけ触れておきます。

(特に、求める人物像が明確に定義されている企業の)採用サイトにとっては、ペルソナ創りは、リクルーティング戦略の明確化に非常に資する手法ではないかと考えています。
まだ取り組まれたことのない企業においては、ぜひ一度、ペルソナを一つの手段として検討されてみてはいかがでしょうか?

さて今回は、ウェブサイト創りとペルソナ作成に関して、長々と書いてまいりましたが...端的に言ってしまえば、そのウェブサイトの目的や役割に応じて、検討手段も取捨・選択するべき。ということです。
ぜひ、“ウェブサイトリニューアルには、○○○”といった固定観念に縛られず、適切な手法の採用を心掛けながら...目的達成に向けて、心躍るサイト創りを目指していただければ。と思います。

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