Business&Marketing Column
Web解析
GA4
Looker Studio
2022.12.15
『GA4』、特に「データ探索」機能を用いたWeb解析に、私自身ようよう慣れてきた感があります。(...まだまだ習熟すべきことは、山のようにありますが...)
そこで現在は、UA同様に、レポーティングの自動化に向けて、『Looker Studio(旧:Googleデータポータル)』連携&活用の検討を始めています。
が、これがなかなか一筋縄で行かない!!状況です😢
ということで、今回は、「GA4 × Looker Studio」連携によるレポート作成の可能性と、特に、そのいくつかの制約に伴う課題について、私自身の理解の範囲で解説してみたいと思います。
* 以下の記載内容は、本コラム執筆時点の認識に基づく内容です。
* GA4、Looker Studioとも、今後のアップデートなどに伴い、適宜、状況は変化していくものと思われます。ご了承の上、お読みください。
1. GA4とLooker Studioの連携方法
最初は、本日の内容の前提条件となる、GA4とLooker Studioの連携方法についてです。
既に、ご存じの方も多いと思いますが、この2つのツールを連携する方法は、通常、次の2つです。
① GA4(Googleアナリティクス)のコネクタを通じて直接データを連携する
② GA4とBigQueryを連携(データをエクスポート)し、BigQueryのデータを利用する
②の場合は、BigQueryの利用が有料、そして、SQLの知識も必要。
ということになりますので、当コラムでは、“無料で簡単に”実現できる【①】について書いていきます。
ちなみに、「UA×Googleデータポータル」を連携したレポーティングでは、①の方法で十分、通常作成するWeb解析レポートのビジュアライゼーション(表/グラフ)をほぼ網羅することができていました。
今回も、同様のレポーティング自動化を目指して!! 検討を始めています。
2. 連携されるフィールド(ディメンション/指標)
さて、ここから本題です。
まず、Looker Studioを試し始めた際、最初に戸惑ったのが、この問題です。
GA4と連携しレポート作成を試していると、使用したい「ディメンション」や「指標」が見つからないことが、ちょくちょくありました。
UAとの連携では、こういうことはほぼありませんでしたので、UAのディメンション&指標は、概ね網羅的に連携されていたと思いますが...GA4では、まだ連携されているフィールドが一部に限定されています。(適宜、追加はされてきているようです。)
例えば、使用頻度が高いコンバージョン系の指標である
○ ユーザーコンバージョン率
○ セッションのコンバージョン率
なども、現時点では、直接連携されておらず、計算式を用いて算出するなどの対応が必要となります。
(このあたり、“率”算出関連の指標でそのまま使用できるものが、まだ少ない印象です。(なお、GA4の新しい指標「エンゲージメント率」は連携されています😊))
また、ディメンションにおいても
○ ランディングページ
○ 最初のユーザーのデフォルトチャネルグループ
などが見当たらず...
前者は、皆さんもよく使用されているディメンションだと思いますし、後者は、GA4から新たに加わった分析軸として、積極的な使用を考えていただけに、現状は、実用的かつ効果的なWeb解析レポート作成のためには、今一歩の状況と認識しています。
このあたり、GA4のデータをフルに活かしたレポーティングを、このツールで実現するためにも、早期の追加を期待したいところです。
加えて、フィールド(ディメンション/指標)まわりで、混乱をやや助長しているのが、日本語名称の問題です。
GA4とLooker Studioでは、日本語名称が統一されていないため、最初のころは、よく頭の中に“???”が浮かんでもいました。
例えば、GA4の「表示回数」は、Looker Studioでは「視聴回数」のフィールド名で、表示されていたりします。
3. セグメントの適用可否
次は、セグメントの利用可否の問題です。
残念ながら、現時点では、Looker Studioで、GA4のセグメントが利用できません。
UAとの連携では、(既定の)システムセグメントだけではなく、自身で作成したカスタムセグメントにも対応していましたので、この点も早期の改善・実装を期待したいところです。
特に、GA4では、ユーザーベースの行動解析が基軸のコンセプトになっていますので、(ユーザーセグメントを用いて行う)特定ユーザーにフォーカスした解析の重要度が、より増してきています。
そして実際に、GA4の「探索レポート」では、それに対応する形で、柔軟なセグメント設定を用いた解析が可能にもなっています。
この点、GA4のデータを本格的に活用したWeb解析とレポーティングを、このツール上で行うには、正直、まだまだ限界があるように感じています。
加えて、カスタムセグメントの利用ができないと、コンバージョンルートなど「行動プロセス」を表現するレポート作成もかなり難しいのでは...と認識しています。
(もしかしたら、GA4の設定やLooker Studioの計算式をうまく利用して実現できる方法があるのかも知れませんが...)
4. ビジュアライゼーション(表現形式)の選択
続いては、使用できるビジュアライゼーション(表現形式)の違いです。
GA4の「データ探索」では、分析手法とビジュアライゼーションの組み合わせが、複数用意されています。
その内で
○ コホートデータ探索
○ 目標到達プロセスデータ探索
○ セグメントの重複
○ 経路データ探索
は、専用のビジュアライゼーションとなっていますので、これをそのまま表現する手法は、Looker Studioには用意されていません。
これら手法&表現の使用頻度は、そこまで高くないとは思いますが、もし、この分析を“そのままの形で”表現したい場合は、GA4のデータ探索を利用するしかないと思われます。
ただし、この相違は、あくまで、“表現”の問題です。
Looker Studioで使用できる代替表現を用いて同様のことを行うことは、基本可能と捉えていますので、上述の「フィールド」「セグメント」の問題ほど実務に影響を与えるものではないと考えています。
5. GA4 APIのクオーター適用(リクエスト上限)の制約
最後に、2022年11月にGoogleがリクエスト上限を設定したことに起因して、新たに発生した問題です。
私が作成したレポートでも、このリクエスト上限に基づくエラーが頻発するようになったものがあり、この問題は、結構深刻な影響を与える可能性があります。
ちなみに...
リクエスト上限の設定がかなり低いため、世界中??の利用ユーザーからのクレームも頻発しているようです。
...ただ、Looker Studioは、(Google社が無料で提供しているサービスということもあり)今後、上限緩和措置など、根本的な改善策が図られるか?は全く見通せない状況です。
という中、この問題への対策として、公式からアナウンスされたものは
△ レポートへのトラフィック(アクセス数)を減らす
△ 各ページのグラフ数を減らす
などビジュアライゼーションツールとして、やや本末転倒ぎみの対策以外は...
◇ 抽出データソースを利用する
◆ BigQueryを利用する(有料)
◆ Analytics360にアップグレードする(有料。しかもかなり高額)
というものが、現状提示されています。
当面は、各ページのグラフの見直しを行ったり、抽出データソースを利用するなどして凌ぐとするにしても、今後も“無料のまま”Looker Studio上でWeb解析&レポーティングを続けることが難しくなるユーザーさんも、相応の数にのぼるのではないかと思われる状況です。
6. GA4×Looker Studio活用の可能性
ここまで書いてきましたように、様々な制約がある「GA4×Looker Studio」連携によるレポーティング活用です。
そのため、“現時点では”このツールでWeb解析のレポーティング実務を完結することは難しい。というのが個人的な見解です。
もちろん、「GA4」「Looker Studio」とも、今後も適宜のアップデートが期待されるツールですので、状況の改善を期待しつつ
無料で使い続けるのであれば...
○ Looker Studioでは、(基本的な指標の推移など)定点観測的なレポーティングをメインとし
...詳細な行動解析は、GA4の「データ探索」機能を使用してガンバる!!
もしくは、コストをかけても良いのであれば...
○ BigQueryをGA4と連携して、Looker StudioをWeb解析レポートのメインツールに据える
...もちろん、SQLの知識がなければ、SQLもガンバって覚える😅
と言ったところが現実的な対応ではないでしょうか?
当社としても、「UA×Googleデータポータル」で、せっかくレポート作成業務の負荷軽減にこぎつけてきたところ...今後どのような対応をしていくか?は、まだまだ頭を悩ませている段階です。
(今後のアップデート等の状況に応じて、より良い解決策が見つかれば...またの機会にご報告させていただきたいと思っております。)
なお、当社では、GA4を用いた解析&レポーティングの「個別無料相談会」なども行っておりますので、お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。