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ペット飼育実態、人気品種の変化(2020猫編)と関連市場への新型コロナの影響

ペット

コロナ影響

2021.06.15

前回の犬編に続き、今回は猫編+αです。

前回同様、(社)ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」のデータをメインに、コロナ下における『猫』の飼育動向の変化を探りつつ、人気猫種の変化なども併せて確認してみたいと思います。

『犬』に関しては、この調査データを見る限り、それほどコロナ下の変化が見受けられるものとなっていませんでしたが...今回はどうでしょうか?

1. 2020年の猫の飼育頭数と飼育率、平均飼育頭数とその変化

2020年の猫の飼育頭数は、9,644千頭で、2019年より140千頭程度微減し、犬ほどではありませんが、同じく減少した結果となっています。
ココ10年の傾向としては、引き続き、横ばい水準で推移していると言えると思います。
(2019年までのデータは、こちらのコラムを参照ください。)

続いて、猫の飼育率(猫を飼育している世帯数を全世帯数で割ったもの)の推移を確認してみます。
この数値も、2020年は2019年より約0.1ポイント低下(ほぼ同水準ですね。)し、猫の飼育世帯割合にも、犬と同じく、コロナ下でも特に増加傾向は見られないようです。

同様に、1世帯あたりの平均飼育頭数も微減という結果です。

ということで、この調査データからは、犬に限らず、猫においても、コロナ下での“ペットブーム”というような特徴的な変化は見受けられない結果となりました。

[猫]飼育率と平均飼育頭数の推移

*調査対象者の年齢:2016年まで「20~69歳」/2017年から「20~79歳」(該当年の調査結果データをそのまま使用。以下同じ)

なお、ペットフード協会の報告では、猫においても「1年以内新規飼育者の飼育頭数」の増加率が伸びている点を指摘していますので、この点は、今回も補足しておきます。

2. ペット関連マーケットに関わる検索ボリュームの変化

では、「ペット関連マーケット」にコロナ下が与えた影響を指し示すデータは何かないのか?
...ということで、このコラムではおなじみかと思いますが...GoogleTrendsを用いて、いくつかのキーワードを調べてみました。

その中で、コロナ下の影響がありそうと思われるのが、次のキーワードです。
●ペットショップ
●動物病院
●ペット保険 …若干微妙ではありますが…

これらのキーワードは、いずれも最初の緊急事態宣言下にあった2020年4月最終週~5月第2週あたりで検索需要のレンジが少し切り上がっている特徴が見受けられます。
この検索需要の変化を見ると、コロナ下でこの頃に、ペットの飼育を検討し始めた方や、ペットの健康・体調管理にさらに気を使う方などが増えたのかもしれません。
ただし、この上昇率は、過去にこのコラムで紹介したwithコロナの影響を受けた他のキーワード群に比べるとわずかですし、「ペットショップ」や「ペット保険」に関しては、その後、すぐに検索需要のレンジが切り下がってきています。

「全国犬猫飼育実態調査」のデータに加えて、この検索需要の変化の小ささや一時性からも、コロナ下が実際に「ペット関連マーケット」に与えた影響はわずかではないかと、推察しています。

[ペットショップ][動物病院][ペット保険]検索ボリュームの推移

*グラフは、各キーワードの検索ボリュームが異なるため、2018年第1週の検索インタレストを「100」とする指数化したグラフとして掲載
*その他のコロナ影響下のキーワードの検索需要の推移は、こちらのコラムなどもご参照ください。

3. 「ペットロボット」に現れた検索ボリュームの変化

若干「ペット関連マーケット」からは脱線しますが...私が調べた限り、近しいキーワードで、ペット関連のどのキーワードよりも2020年に検索需要の増加率が高かったのが「ペットロボット」です。

検索ボリューム自体が、上で挙げた「ペットショップ」などのキーワードなどよりは圧倒的に少ないので、増加率が目立ちやすい。ということも実際はありますが...
やはり、生き物のペットを飼う。ということは、住環境の制約やホントに面倒がみられるのか?など覚悟がいることかと思いますので...コロナ下だからいきなりペット!というのは、実際には難しい方も多かったのではないでしょうか?

ということで、制約も少なく、搭載するAI等により感情表現の進化も著しい「ペットロボット」に癒しを求める方も多かったのでは!?と思います。
実際に、GROOVE X 社の「LOVOT(らぼっと)」などは、TVなどメディアにもよく取り上げられて話題になり、実際に、購入を検討された方も多かったのではないでしょうか...

][ペットロボット]検索ボリュームの推移

4. 直近10年間の人気猫種の変化

ここで「全国犬猫飼育実態調査」のデータに話を戻しましょう。
前回、犬編でも行いました飼育している人気品種(猫種)のココ10年の推移です。

猫の場合は、
●雑種
●種類は分からない
の2つの分類で常に80%以上を占め、いわゆる純血種の飼育は非常に少ないことが大きな特徴です。
その中でも、雑種は、若干ながら微減傾向にあるのが、ココ10年の傾向と言えば傾向でしょうか?

[猫]人気猫種の推移(その1)

ちなみに、「純血種」の中では、『アメリカンショートヘア』がココ10年不動の1位を占めており、続いて『スコティッシュフォールド』が多くの年で2位を占めることが多い結果となっています。
そして、3位以下は「ペルシャ(チンチラ)」「ロシアンブルー」「メインクーン」などの順位が微妙な差で毎年入れ替わっておりますが...ほぼ誤差の範囲と言って良いかと思われます。

ということで、人気猫種に関しても、犬種同様、大きな変化は見受けられず...ココ5年程度で言えば、上位2強が、3位以下との差を若干ながら広げつつある程度の変化という感じでした。

[猫]人気猫種の推移(その2)

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