Business&Marketing Column

日本企業とデジタルマーケティング投資。DX日米比較とIT投資動向から読み解く

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2022.10.25

日本企業とデジタルマーケティング投資。DX日米比較とIT投資動向から読み解く<イメージ画像>

2020年春。コロナ禍の始まりとともに、リモートワークなどが急速普及し、同時に“デジタルトランスフォーメーション(DX)”というbizワードも一般化。その検索需要も大きく増加いたしました。

それから2年半以上が経過した現在。DXの検索ボリュームも、一貫して低下傾向を示し、バズワードとしての人気も終焉の兆しを見せています。(下グラフ参照)

『デジタルトランスフォーメーション』検索インタレスト推移

しかし、デジタル化の進展は、NFT、メタバース、Web3など個別細分化した新たなキーワードとともに加速を続けており、DXに取り組む企業にとっても、その本質&成果が問われる時代に入ってきています。

今回は、日本のIT投資動向(予測)と「DX白書2021」における日米比較データを踏まえ、デジタルトランスフォーメーションとデジタルマーケティングの意義、そして目指すべき成果などについて考えてみたいと思います。

1. [業種別/カテゴリー別]日本のIT投資動向(予測)

今年9月に、(株)富士キメラ総研が「国内の業種別IT 投資の動向を調査」という調査データの概要をプレスリリースしています。

その調査によると、今から約5年後、2026年度のIT投資額の2021年度比では、「製造業」そして「不動産業」「物流/運輸業」などの順に高い伸びが予測され、特に、金額規模が最も大きい「製造業」が牽引する形で、これからの国内IT投資も、引き続き拡大すると予測されています。(下グラフ*参照)
* グラフ:[X(横)軸]2022年度見込(2021年度比)、[Y(縦)軸]2026年度予測(2021年度比)、[バブルの大きさ]2026年度予測の金額

【業種別】国内のIT投資額 2021年度比[2022年度見込/2026年度予測]

併せて、カテゴリー別の動向を確認すると、金額規模では「業務システム系」への投資が変わらず全体の過半を占めるものの、2026年の予測では、「営業・マーケティング系」への投資が、2021年度比で約156%と大きく伸長するものとなっています。(下グラフ参照)

【カテゴリー別】国内のIT投資額 2021年度比[2022年度見込/2026年度予測]

5年後も『製造業』×『業務システム系』がIT投資の主軸...
日本企業では、製造業を中心に基幹システムの置き換えなど“ランザビジネス型(守り)”のIT投資がまだまだ主軸とは言え、将来に向けて、デジタルマーケティングなど対市場・対顧客に向けての“バリューアップ型(攻め)”のIT投資(⇒DXにつながる投資??)も徐々に加速していることを示唆している一つのデータだと捉えています。

2. [業種別]DXの取組み状況(日米比較)

続いて、2021年10月に(独)情報処理推進機構[IPA]が、日本と米国企業へのアンケート調査を元にした「DX白書2021」を発刊していますので、そのデータを一部引用する形で当コラムを進めたいと思います。

まず最初に、業種別のDX取組み状況です。
下のグラフは、X(横)軸に日本、Y(縦)軸に米国を配置し、DX取組状況のうち、【全社戦略に基づき、(一部の部門でも)DXに取り組んでいる】企業の割合をプロットしたものです。

【業種別】全社戦略に基づき、 全社的に or 一部の部門でDXに取組んでいる割合

なお、この白書では、ほぼすべての項目において、日本企業は米国企業の後塵を拝している結果になっていますので、今回、当コラムに用いたビジュアライゼーション(散布図)では、原則、左上方のポジションの項目*ほど、日米企業の差が大きいことを示しています。
* X(横)軸、Y(縦)軸で、「%」のスケールが異なりますので、ご注意ください。以下のグラフについても同じ。

例えば、このグラフでは「情報通信業」「製造業」「サービス業」などの業種で日米差が大きく、「製造業」では30ポイント弱の差が確認できます。

一方で、「流通業、小売業」においては、その差が、比較的小さいように見受けられます。(ただし、このデータでは【全社的に取り組んでいる】に回答を限定すると、その差はかなり広がりますので、その点は注意が必要です。)

...ココから少し余談です。...
DXというワードが日本で普及する前に、日本企業(店舗)へのIT導入に関する実証実験で、“米国小売TOP10”に入る企業と、ほんのチョットだけ仕事をした経験があります。
...1年に満たない短い期間でしたが、今思えば、それだけでも「小売業」に属する日米企業のDX取組みレベルの格差を感じるには、十分な時間でした。

(話を元に戻します)
ここまでの業種別のデータからは、米国との比較で、DXの取組み格差の大きい日本の「製造業」(しかも、日本では産業全体に占める割合が高い!)において、IT投資の伸び率が高く予測されている点は、ひとまず心強いことだと思います。
...ただし、今回のコラムでのポイントは、そのIT投資が、真に“DX”へ振り向けられた投資になっていくのか?にありますので...続いては、少し異なる角度のデータから、日米企業のDXへの向き合い方の違いを見ていきたいと思います。

3. [事業領域別]DXの取組み状況(日米比較)

続いてのグラフは、事業領域別の【DXにすでに取り組んでいる】日米企業の割合を、同様にプロットしたものです。

【事業領域別】すでに取組んでいる割合

このグラフを見ると、大多数の項目が同じようなポジションに固まっていますが...1項目「製品・サービスへの適用」という項目において、日米企業の格差がズバ抜けて大きいことが確認できます。(その差は、ズバリ30ポイント)

個人的には、コノ項目の差に、日米企業の“DXを通じて目指す先”の意識格差を強く感じます。
...米国企業においては、『製品・サービスそのもの』を文字どおり『トランスフォーム(≒機能・性質から一変)』させることを“DX”の狙いとしているのに対し、多くの日本企業の目指すものが「デジタイゼーション」もしくは「デジタライゼーション」の範疇にとどまっているように思われます。

長期にわたり、GAFAMのようなグローバル成長企業を生み出せていない日本においては...デジタル化の遅れを取り戻すことはもとより、さらに、DXを通じた経営(+業績)革新を成し遂げるためには...IT投資の加速はもちろんのこと、今一度、“DXの目指す先(≒ビジョン)”を描くような経営マインドの転換が必要なのかもしれません。

4. [取組内容ごと]DXによる成果動向(日米比較)

DX白書のデータを用いて、もう少し議論を進めます。
次のグラフは、取り組み内容ごとに、【(ある程度以上の)成果が出ている】との回答割合をまとめたものになります。

【取組内容ごとの成果別】すでに十分な or ある程度の成果が出ている割合

グラフ右側、日米企業の差が比較的少なく、かつ日本企業でも成果が出ている項目に「業務の効率化による生産性向上」「アナログ・物理データのデジタル化」があります。
一方、グラフ左側、日米の差が比較的大きいものに「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」「企業文化や組織マインドの根本的な変革」そして「新規製品・サービスの創出」などが見受けられます。

このグラフでは、実際に成果が現れているとした項目においても、日米企業に大きな格差が確認できます。
...米国では「イノベーション(変革)」に関わる成果を認識している企業が「70%以上」存在しているのに対し、日本では、それらの成果を認識している企業は「40%未満」に過ぎません。

この点に関しては、(当然、取組み開始時期、投資金額など様々な日米格差が影響していると思われますが..)前述、DXを通じて目指す経営ビジョンの差も大きく影響しているのではないか?と個人的には考えています。
...加えて、米国企業が、成長の源泉である「対マーケット(⇒「顧客」「製品・サービス」)」の成果を回答しているのに対し、日本企業は、まだまだ「内向き(⇒「業務」など)」の成果にとどまっているように見受けられる点も、残念なトコロです。

5. [企業変革推進]リーダーマインド&スキル(日米比較)

最後は、企業変革推進のために【リーダーにあるべきマインド&スキル】の回答割合をまとめたグラフになります。

企業変革推進のためリーダーにあるべきマインドとスキル回答割合

このグラフでは、日本に多い回答として「リーダーシップ」「実行力」「コミュニケーション能力」などが挙げられている一方、米国に多いものでは「テクノロジーリテラシー」「業績志向」「顧客志向」などが挙げられています。

日本では...企業変革!という目的以前に...リーダーそのものに求められる資質を挙げる傾向が強いのに対し、米国では、企業としての目的(そして成果)につながる項目の回答が多い傾向にあります。
同時に、「デジタルリテラシー(≒最新テクノロジーに対する情報感度とそれを使いこなす能力)」そのものが企業変革につながることが強く意識されていることが良く分かります。

6. DXの意義とマーケティング投資の必要性

本日取り上げた2つの調査データからは...
日本企業においても、デジタル(IT)への投資自体は、継続拡大が予測されるものの...“何を目指して”デジタル化を進めるのか?について、日米企業の経営認識に大きなギャップが残っており、それが、実際のイノベーション成果にもつながっているのではないか?とも受け止められる内容でした。

特に、“DX”を本来の目的である経営(+業績)革新につなげるためには、インナー向けにとどまらず「対マーケット」への適用意識が必要不可欠と個人的には捉えています。
...そういう意味において、日本企業も、改めてDX推進の未来(≒ビジョン)を描くことを前提としつつ、業種・業態を問わず『デジタルマーケティング領域』へのさらなる投資加速が求められている状況かと理解しています。

なお、当コラムの最後に、最初のグラフと対比する形で“webマーケティング”の検索ボリュームの推移を掲載しておきます。
⇒このワードの検索需要は、コロナ禍を経ても、堅調に(特に、今年は漸増で)推移していることが見てとれると思います。
...時代のバズワードに踊らされることなく、既に多くの企業様が、本質的な投資先を見極められている一つの証左。ということかもしれません。

『webマーケティング』検索インタレストの推移

なお、当社では...
○ (既存商品・サービス向けの)デジタルマーケティング戦略支援
 にとどまらず
● “新規”サービス企画・開発支援 ...例えば、交通・旅行系企業様での初めてのデジタルサービスの企画・開発&テストマーケティング支援...
なども行っておりますので、 ご興味をいただける方がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

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