Survey Reports

「賃金」の満足割合は、仕事の満足度レベルに概ね比例。「業務量」の満足割合は、満足度レベルが高いほど顕著。

人手不足時代のHR戦略を探る - 若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査[仕事の満足度層別レポート] -

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HR

インターネット調査

2024.02.20

企業のマーケティング戦略立案・実行支援などを行うLifeTimeTechLabo Inc.では、“人手不足”が日本企業の最大の経営課題となりつつある中、より重要性を増すHR・採用戦略のヒントを探るため、若手~中堅世代(25歳~34歳)の正社員に対して、仕事の満足度などを聞くインターネット調査を実施いたしました。

今回の調査レポートでは、現在の仕事に対する満足度評価を軸に、各設問とクロス集計&分析した内容をお届けいたします。

(基本の調査レポートは、「人手不足時代の採用戦略を探る - 若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査 -」を参照ください。)


調査結果サマリー

  • 現在の仕事の[満足層]は、満足している項目に「業務量」「企業(雇用)の安定性」「賃金(給料、賞与など)」などを挙げる。また、「賃金」の満足割合は、[不満層]~[満足層]の層分類に概ね比例。
  • [満足層]の不満に思っている項目は、「特にない」が最多。一方、[不満層]の過半数が「賃金」を挙げ、「現在の人事評価・査定」も1/3を超える。
  • 就職にあたり重視した項目では、[満足層]がすべての項目で[不満層]を上回る。特に「担当業務が希望とマッチしているか?」などの項目で大きな違い。
  • 企業の情報収集手段では、最も多い「就職/転職情報サイト」にはあまり差が認められない一方、「(学校関係以外の)先輩・友人・知人」「企業の採用サイト」などで[満足層]と[不満層]に大きな差。
  • 現在の転職意向では、漠然と...含め「転職したいと考えている」割合は、[不満層]が[満足層]を20ポイント強上回る。一方で、[満足層]は[やや満足層]より強い転職意向を示す。

調査結果詳細

本調査レポートでは、現在の仕事に対する満足度を「0(とても不満)~10(とても満足)」の11段階で評価してもらう設問の回答結果をもとに、回答者を次の4つに分類し、その層分類ごとに各設問の結果とクロス集計したレポーティングを行っています。


層分類 不満層 どちらでもない層 やや満足層 満足層
満足度評価の回答 「0~4」を選択 「5」を選択 「6、7」を選択 「8~10」を選択
回答数 99 115 114 72

最初は、現在の仕事(職場)に関し「満足している項目」を選択してもらう設問とクロス集計したデータです。

[仕事の満足度層別]現在の仕事(職場)で満足している項目

各層ごとの平均選択数は次のとおりで、[満足層][やや満足層]の選択数が、他に比べて2以上多い。(「特にない」は「0」とカウント)

不満層 どちらでもない層 やや満足層 満足層
1.74 1.59 3.75 4.51

[満足層]の選択割合は、(「特にない」を除き)ほぼすべての項目で[不満層]を上回り、特に、「業務量」「企業(雇用)の安定性」「賃金(給料、賞与など)」「上司・部下とのコミュニケーション・人間関係」の各項目で、その差が20ポイント以上と大きくなっていました。

なお、「福利厚生」の項目のみ、[満足層]の割合が[不満層]を若干下回る結果となっています。

また、[満足層]と[やや満足層]の比較では、「業務量」「企業文化、組織風土」「担当業務が成長・スキルアップにつながっているか?」「企業の安定性」の項目で、[満足層]の割合が10ポイントを超えて上回る一方、「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)」では、[やや満足層]が10ポイント以上上回る結果となっていました。

次に、現在の仕事(職場)に関し「不満に思っている項目」を選択してもらう設問とクロス集計したデータを示します。

[仕事の満足度層別]現在の仕事(職場)で不満に思っている項目

各層ごとの平均選択数は次のとおり。[不満層]のみ、他より選択数が2.5以上多い。(「特にない」は「0」とカウント)

不満層 どちらでもない層 やや満足層 満足層
4.34 1.73 1.76 1.50

前問とは逆に、[不満層]の回答割合が、(「特にない」を除き)ほぼすべての項目で[満足層]を上回っています。

特に、「賃金(給料、賞与など)」で約40ポイント、「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)」「現在の人事評価・査定」で20ポイント強とその差が顕著です。

ちなみに、「企業(雇用)の安定性」の項目のみ、[不満層]と[満足層]の割合が逆転していました。

また、[満足層]と[やや満足層]の比較では、「賃金」の項目に15ポイント近くの大きな差が現れています。

これらのデータからは、[満足層][やや満足層]の満足要因、あるいは[不満層]の不満要因が、(一つではなく...)複合的な要因により形成されている様子が確認できます。

その中でも「賃金」の満足割合は、仕事の満足度レベルに対して、比例傾向が明確であり、仕事の満足度評価の最も基礎的条件になっているものと捉えられます。

その他、「業務量」「企業の安定性」などの満足割合は、満足度レベルが高いほど顕著に出現し、満足度評価を引き上げる要因と認識できる結果になっていました。

一方で、「福利厚生」の満足割合は、満足度レベルに関わらず概ね同一の水準を示しており、直接的に仕事の満足度に影響する要因ではないものと推察されます。(ただし、一定程度の制度充実が前提になっている可能性も)

また、[満足層]と[やや満足層]で差が大きい「企業文化、組織風土」「担当業務が成長・スキルアップにつながっているか?」などは、仕事に満足していることを前提に、満足度をさらに高めるために機能している可能性が示唆されています。

この点、基本レポートでは分かりづらかった 個人のやりがい会社組織の意義・目的 などの果たす役割が、少し明確になったと言えるかもしれません。

続いて、現在の企業(職場)に就職を決めるにあたり「重視した項目」を聞く設問とクロス集計したデータが次のグラフです。

[仕事の満足度層別]現在の企業(職場)に就職を決めるにあたり、重視した項目

各層ごとの平均選択数は次のとおり。[満足層][やや満足層]で、他より多く選択。(「あてはまるものはない」は「0」とカウント)

不満層 どちらでもない層 やや満足層 満足層
2.02 1.86 2.72 3.25

[満足層]は、この設問でも、(「あてはまるものはない」を除き)すべての項目で[不満層]より割合が高く、特に「仕事内容が希望とマッチしているか?」「賃金(給料、賞与など)」「企業(雇用)の安定性」「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)」で10ポイント以上高くなっています。

[満足層]と[やや満足層]の比較では、10ポイント以上の大きな差がついている項目は一つもなく、「仕事量」「(社会・環境への貢献など)企業の社会的存在意義」などでやや差が開く結果となっていました。

このデータで、[満足層]は、既出の満足項目でも、その割合が高い「賃金」「企業の安定性」などが高く、就職活動段階から、仕事の満足度に結び付くポイントを押さえた企業選考を行っている様子がうかがえます。

他方、満足項目には、あまり現れていない「仕事内容が希望とマッチしているか?」も高く、この点に関しては、満足度評価とは別(それ以前)の 就職先評価 条件のようなものと捉えられる結果となっていました。

次に、同じく就職段階で、どのような手段で、企業の情報収集を行ったか?を聞く設問とクロス集計したデータになります。

[仕事の満足度層別]現在の企業(職場)に就職するにあたっての情報収集手段

各層ごとの平均選択数は次のとおり。[満足層][やや満足層]が多く、[どちらでもない層が]が少ない。(「採用面接のみ」は「0」とカウント)

不満層 どちらでもない層 やや満足層 満足層
1.84 1.38 2.67 2.51

[満足層]の回答割合は、「(学校関係以外の)先輩・友人・知人」「企業の採用サイト」「会社の口コミ・評判サイト」「SNS(企業の運営するアカウント除く)」で[不満層]より10ポイント以上高く、逆に「就職/転職エージェント」「学校のキャリアセンター・就職相談室」で低くなっていました。

[満足層]と[やや満足層]の比較でも、[満足層]は「(学校関係以外の)先輩・友人・知人」で10ポイント強高く、逆に「就職/転職エージェント」「就職/転職イベント・セミナー」で低くなっています。

このデータでは、各層とも「就職/転職情報サイト」の利用は同レベルですが、[満足層][やや満足層]は、それ以外の複数手段を用いて情報収集を行う傾向が表れています。

その中でも、[やや満足層]は、就職(転職)支援会社などの第三者 を多く利用する傾向に対して、[満足層]は、「先輩・友人・知人」などに代表され、(おそらくは...)企業関係者と直接つながる接点 を活用している点に端的な特徴が表れていました。

この点、就職前から企業関係者の一次(直接)情報を仕入れられる環境は、入社前後のギャップを埋めることで、仕事の満足度評価を高める重要な1つのファクターと認識できます。
最近は、「リファラル採用」も多くの企業に取り入れられつつあり、こうした手法の有効性を裏付ける一つのデータとも言えるでしょう。

ただし、現実的にこうした手法のみに頼って、採用ニーズをすべて満たすことはおそらく難しく...[満足層]で相対的に利用率が高い「企業とのカジュアル面談」「企業のインターンシップ」など、採用プロセス前に(建前に覆い隠されない...)直接接点の確保が、人材定着に資する採用活動に重要となると思われます。

今回の調査レポートの最後に、現在の転職意向を聞く設問とクロス集計したデータをご覧ください。

[仕事の満足度層別]現在の転職意向

「転職を考えたことはない」の回答割合は、[満足層]で最も高く「41.7%」、以後順に[やや満足層(36.0%)][どちらでもない層(24.3%)][不満層(17.2%)]と、満足度レベルの順番どおりになっています。

他方、「漠然と転職したいと考えている(まだ具体的な検討はしていない)]を含めて、転職意向のある回答の合計割合は、高い順に[不満層(61.6%)][どちらでもない層(45.2%)][満足層(40.3%)][やや満足層(24.6%)]と、[満足層]と[やや満足層]で逆転現象が起こっています。

さらに、「機会をみて転職したいと考えている(具体的な検討を始めている)」など高い転職意向を示す回答の割合でも、[不満層(32.3%)][どちらでもない層(30.4%)][満足層(20.8%)][やや満足層(13.2%)]と、同様の傾向です。

この設問の評価のためには、もう少し精査した調査も必要と思われますが...[満足層]では、 仕事の満足度 ⇒ 企業(職場)への愛着醸成 につながる層が多数を占める一方で、その一定割合は 仕事の満足度 ⇒ 仕事に対する自己肯定感 ⇒ 次のステップへのチャレンジ意欲 につながっているものと推測されます。

(この点、満足項目の「担当業務が成長・スキルアップにつながっているか?」「現在の人事評価・査定」が他の各層より高く出現していることなどにも示唆されています。)

いずれにしろ、定着意向の高さ(=非転職意向)自体は、仕事の満足度レベルに比例していることに間違いはなく、この点に微に入り、より仕事の満足度を高める対応や施策を、あまりネガティブに捉えるべきではないでしょう。
...例え、こうした人材が社外に流出しても、自社のことをポジティブに広めている可能性も高く...「アルムナイ制度(離職後の再雇用制度)」の導入などで、再度の雇用機会をうかがうのが、双方にとってポジティブな戦略と捉えています。

以上で、今回の調査レポートは終了です。

なお、ご希望の法人の方向けに、次の追加データを別途ご用意しております。

● 回答者属性(勤務年数/職種/所属企業規模(従業員数)/転職経験)

● 性年代別クロス集計

次の画面で必要事項をご入力の上、データをダウンロードしてご利用ください。

調査概要

若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査

調査方法 インターネット調査
調査期間 2024年1月22日 - 25日
調査対象者 全国25歳 - 34歳
[本調査]現在、企業に勤務/正社員/大学卒業以上
(アイブリッジ(株)「Freeasy提携パネル」利用)
有効回答数 [本調査]400サンプル
※性年代別に均等割付
設問数 [本調査]7問

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