Business&Marketing Column

SDGs、ESG投資関連キーワードの検索ボリュームの変化

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2021.02.15

2020年のコラムでも企業のサステナビリティ(持続可能性)という観点で、ESG投資やSDGsの話題について触れてみましたが...

現在、当社でも、Web業界や旅行業界の企業様のSDGsの取り組みや、その取り組みを活かしたマーケティング活動の支援を始めております。
そして、その1社の活動が、新聞社(全国紙)の取材を受け、新聞紙面を飾るなどメディアの関心の高さを改めて実感しております。

それでは、こうしたSDGsに関わる具体的な活動に関して、一般社会の関心はどのように変化しているのでしょうか?
当コラムでは、恒例にもなりつつあります...検索キーワードのボリュームの変化から...SDGs、ESG関連の関心の変化を少し読み解いてみたいと思います。

1. 「SDGs」「ESG投資」そのものの検索ボリュームの変化

最初は、ストレートに「sdgs」と「esg」の検索ボリュームの変化を取り上げます。
2018年第1週の検索インタレストを「100」とする指数化したグラフ*で、2020年最終週まで丸3年間の推移を確認していきたいと思います。
* 以下使用するグラフはすべて同じです。

「sdgs」に関しては、新型コロナ第一波の緊急事態宣言下でややボリュームが低下した期間はあったものの、それ以外の期間は、この3年間、ほぼ一貫して上昇トレンドにあります。

特に、2020年11月第4週には、SDGs関連のイベント(日経SDGsフォーラム)が開かれていたこともあって、一次、2018年第1週の15倍近くの検索ボリュームを記録していました。
その後の検索需要は低下したものの、年末年始の休暇に入る前の12月第3週でも、約7倍水準を維持しています。
(グラフにはありませんが...休暇明けの1月には、11月近くの水準まで、すぐに数値を戻しています。)

一方、「esg」に関しても、「sdgs」ほどではありませんが、3年間、概ね上昇トレンドを継続し、2020年9月以後は、2018年第1週比で、概ね5倍前後の水準まで達しています。

いずれも夏季・冬季の休暇シーズンに大きく検索需要が下落している点、特にSDGsに関しては、ビジネスイベントなどに反応している点なども踏まえると、少なくとも、ビジネスパーソンの間では、この3年簡で、非常に大きな関心を集めるようになった社会的テーマと言えることは間違いないと思います。

「sdgs」「esg」検索インタレストの推移

2. 「SDGs」「ESG投資」関連キーワードの検索ボリュームの変化(その1:地球環境)

「SDGs」や「ESG投資」がこの3年間で高い関心を集めるようになってきた(少なくとも、検索ボリューム上では)ということは確認できましたが...
それらにまつわる具体的なテーマや活動に関わる関心はどうなのでしょうか?
ココから、関連キーワードを調べることによって、もう少し掘り下げていきたいと思います。

まずは、少しスケールを大きく...人類存続の前提となる地球環境の維持に関するキーワード「温暖化」「気候変動」の2つを取り上げてみます。

「温暖化」に関しては、かなり以前から普及しているキーワード(バスワード、トレンドワードになりにくい!)ということもあるのか?...2019年9月23日に開催された「国連気候行動サミット2019(グレタ・トゥーンベリさんのスピーチも話題になったサミットです。)」から若干の間は、増加傾向に見えた期間はあったものの、この3年間、ほぼ同水準で推移し、大きな変化が見当たりません。

続いて、「気候変動」に関してですが、こちらも上述のサミットを契機にして、若干の検索ボリューム増加が見受けられるものの、「sdgs]や「esg」とは異なり、2018年第1週比で2倍程度の水準までにとどまっています。

「SDGs」などの取り組みの中では、最もスケールの大きなテーマとも思えるキーワードですが...夏の酷暑や災害時以外では、身近に感じる機会も少ないためなのか?...社会的関心が持続的に高まっていくようなことが難しいと思われる推移になっています。

「温暖化」「気候変動」検索インタレストの推移

3. 「SDGs」「ESG投資」関連キーワードの検索ボリュームの変化(その2:日常生活)

続いては、もっと生活者が自身の日常生活と結びつけやすいキーワードと考えられる「食品ロス」「プラスチックごみ」を取り上げてみます。

まずは「食品ロス」
このキーワードは、その時々で、一時的に検索需要が急騰するタイミングがあるようです。

特に、2020年に入ってからは、4月第1週~6月第1週前後まで、他の急騰よりは少し長い期間にわたって検索ボリュームが増加した時期があります。
ココを少し深掘りすると...この期間は「コロナで困窮している方々のためにロス(廃棄)となる食品を活用する」という文脈の中で検索が行われていたようです。

と同時にこのキーワードは、検索ボリュームの変化(急騰)が一過性で...その後、短期間で急落し、元の水準よりは若干高い値で落ち着く形となっています。

そして「プラスチックごみ」
プラスチックごみの急増は、withコロナ下の生活スタイルの変化(デリバリー・テイクアウトの急増など)により、その処分が、自治体等を悩ます深刻な問題となってきておりますが...
検索需要自体は、2020年のピーク時で、2018年第1週比3倍、直近でも2倍程度と、非常に緩やかな伸びにとどまっています。

(前章の「気候変動」なども含めて)これらの変化を見ると...
「SDGs」「ESG」そのものの検索ボリュームの伸びに比較して、関連するキーワードの検索需要の伸びは一様に低く...個々のテーマや具体的な取り組みに関しては、(特に、一般生活者において)まだまだ大きな関心事になっていない。と言えるのではないでしょうか?

「食品ロス」「プラスチックごみ」検索インタレストの推移

4. 「SDGs」「ESG投資」関連キーワードの検索ボリュームの変化(その3:ビジネス)

最後に、ビジネスのあり方に変化を求められるキーワードとして「脱炭素」「ev」を取り上げたいと思います。

「脱炭素」に関しては、2020年9月まで比較的緩やかな変化にとどまっていましたが...10月第2週前後から、検索ボリュームが一気に急増し、その後も高い水準にとどまっています。

もちろん、これは菅総理大臣の所信表明による「2050年までに脱炭素社会実現」の宣言に呼応しているものと考えられ...この政府方針を受けて、検索需要においても大きなトレンド変化が起きたものと捉えられます。

そして、「ev」に関しては、さらに直近まで変化が見受けられません。

グラフでは分かりづらいですが...2020年11月第4週前後で少し検索ボリュームの増加が見受けられます。
これも、経済産業省による「2030年代半ばに国内の新車からガソリン車をなくし、すべてを電動車(ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など)にする」という目標設定の話題に対応しているものと考えられます。

例えば「EV」に関しては、テスラ社の4半期ベースの初の黒字化などの話題もあり、欧米では2020年初頭からもう少し盛り上がりがあったものと認識していますが...日本のビジネス界では、政府方針の転換を受けて、ようやく具体的な事業テーマとして認識が高まった。と言えるのかもしれません。

「脱炭素」「ev」検索インタレストの推移

「SDGs」「ESG投資」とも、今やメディアでよく聞くキーワードとなってはきていますが...検索需要の盛り上がりを関連キーワードを含め全体として見ると...現実的には、まだまだビジネス界隈での(表層的な)バズワードにとどまっており、日本での具体的な取り組みや、一般生活者への浸透は“これから”と言える結果だったのではないでしょうか?

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