Business&Marketing Column

新型コロナウィルスによる旅行・外食・エンタメ業界への影響

コロナ禍

2020年

調査・統計データ

2021.04.15

新年度に入っても...感染力の強い変異株の蔓延など、新型コロナウィルスの猛威が一向に収まる気配を見せません。

当コラムでも、何度か”withコロナ時代”を検索ボリュームの変化から読み解く企画を掲載しておりますが、新型コロナウィルスが、実際に2020年の各産業界にどのような影響をもたらしたのでしょうか?

2020年の各マーケットに関する調査・統計データも出揃いはじめましたので、それらのデータを元に、今回は、特に影響の大きいサービス産業を中心に、その影響(のすさまじさ)を見ていくこととしたいと思います。

1. コロナ禍の旅行業界への影響

最初は、コロナ禍の最も大きな打撃を受けている業界の一つで、私もマーケティング支援をしている企業がある旅行業界のデータを確認してみましょう。

「訪日外客数」

コロナ禍のインパクトを示す象徴的な数字としてよくメディアにも取り上げられており、ご存知の方も多いかと思います。
一般的には、インバウンド(訪日外国人)客数を示す統計数値で、直近数年は鈍化傾向にあったものの、ココ10年程度は、平均20%以上の伸び率を示し、3倍以上の数字に急増していました。
が...2020年わずか1年間で、前年比90%近くも減少し、10年前の訪日外客数をも下回る結果となっています。
ちなみに、日本では新型コロナウィルスの影響のあまりなかった2020年1-2月の数値も入っていますので、3月以後のそのインパクトは、インバウンド客のみに依存していた企業には、壊滅的な打撃を与えたものと考えられます。
(もちろん、海外との出入国がほぼストップしていますので、当然の結果ではあるのですが...)

「訪日外客数」2010-2020

それでは、インバウンド客ではなく、「日本人」の国内旅行需要の推移はどうでしょうか?

「日本人国内旅行消費額」

観光庁が四半期ごとに行っている調査データで、名前のとおり日本人の国内旅行での消費額の推移が分かります。
この結果を見ると、インバウンド消費とは大きく異なり、ココ10年間は、微増ないしほぼ横ばい程度で推移していたのが分かります。そして、コロナ影響による2020年では、宿泊・日帰り旅行とも(速報値で)50%以上も減少しています。
2020年後半は、GoToトラベルによる需要喚起策で、やや持ち直しを見せていたものの、やはりこちらも影響は甚大です。

「日本人国内旅行消費額」2010-2020

特に、私自身も今年(2021年)に入り旅行先となる施設や土産物店の廃業をよく聞くようになってきました。
やはり、感染が収まらない中でも、GoToトラベルなど支援施策の復活を望む声が業界関係者から上がることは、やむに已まれない事情と言えると思います。

2. コロナ禍の外食業界への影響

続いて、感染拡大とともにたびたび時短要請の波にさらされ、こちらも大きな打撃を受けている外食産業のデータを確認してみましょう。

「外食産業売上金額前年比(全店)」

コチラは、日本フードサービス協会が会員企業を対象に月次で行っている調査の集計データで、毎年の前年比が分かる資料になっています。
日本人国内旅行消費額のデータと同じく、ココ10年の前年比の推移は、微増ないしほぼ横ばい程度で推移し、あまり成長は見られません。そして、問題の2020年は、前年比約85%とコチラも大きく低下しています。
ただし、その割合は、日本人国内旅行消費額の減少割合ほど低下していませんので、旅行業界との比較においては、コロナ禍の打撃はまだ少ないものと言えるのではないでしょうか?
(もちろん15%もの売上減少は、経営の土台を揺るがすものではありますが...。)

一方、このデータを業態ごとに確認すると大きなバラツキがあることが分かります。「パブレストラン/居酒屋」業態の2020年の前年比は約50%と旅行業界並みに大きな打撃を受けているものと考えられるのに対し、「ファーストフード」業態は、96%とほぼコロナ禍の影響を受けていないと言える水準にとどまっています。
この点、時短営業協力金の一律支給の制度が、個人経営の店舗⇔チェーン店舗など事業規模によって不公平があるため、2020年4月から変更されるということですが...経営支援という観点からは、業態ごとの不公平感解消に向けて何らかの施策も必要なように見受けられます。

「外食産業売上金額前年比(全店)」2010-2020

ただし、いずれにしろ「時短営業協力金」の支援がある分だけ、実際、外食業界全体では、旅行業界よりはコロナ禍の打撃が軽減されていること自体は事実だと思われます。

3. コロナ禍のライブ・エンタテインメント業界への影響

最後に、人気アーティストなどが多くのファンを動員する大規模イベントがほぼ困難になっているライブ・エンタテインメント業界のデータを確認してみましょう。

「ライブ・エンタテインメント市場規模」

このデータは、ぴあ総研が「音楽コンサート」と「ステージでのパフォーマンスイベント」の推定チケット販売額を継続して集計しているもので、この業界の動向を図るひとつのモノサシとなっている調査データです。
*2020年は、最終結果が公表されていないため、2020年10月時点での試算値となっています。

この業界の市場規模は、ココ10年のうち、2016年を除き毎年プラス成長をつづけ、前年比2桁成長も珍しくない非常に成長性の高い有望な市場でした。その光景が2020年(試算値)では一変し、前年比ほぼ80%減の規模にまで縮小してしまっています。
当然これは2010年の規模を大きく下回る水準で、本日見てきた3業界の中でも、最も色濃くコロナ禍の打撃を受けている業界と言えると思います。

ちなみに、その中でも特に「音楽コンサート」は、規模が大きいイベントが多いせいなのでしょうか?飛沫感染のリスクが高いからなのでしょうか?より多くの打撃を受けている結果となっています。

「ライブ・エンタテインメント市場規模」2010-2020

冒頭にも述べたように、日本の現状は“第4波”に入ったとも言われ、未だ感染終息の見通しが立たない状況です。
この点を踏まえると...残念ながら、2021年も引き続き、多くのサービス産業へさらなる打撃がのしかかるのが必定で、これら業界の先行きが非常に懸念されます。

なお、次回もしくはそれ以後のどこかの回では、コロナ下で逆に業績を伸ばす、あるいは市場を牽引するサービス市場・産業のデータを取り上げ、この業界へのわずかばかりのエールとさせていただければ。と考えています。