Survey Reports

[今年前半と新型コロナ流行前の比較]在宅時間が増えたとの回答割合は、20代後半-30代・60代前半の女性で高い。一方、40代-50代は男性を下回り、年代ごとの傾向に違い。

「在宅時間・外出頻度の変化に関する意識調査」 - ポストコロナのマーケットを探る

インターネット調査

ポストコロナ

巣ごもり

2023.08.15

生活者&企業の時間価値創出支援を事業ドメインとするLifeTimeTechLabo Inc.では、2023年に入り本格的リオープンが進む中、ポストコロナのマーケット動向の変化を探るため、今年(2023年)前半と、新型コロナ流行前(~2019年まで)の在宅時間・外出頻度の変化に関し、生活者の"実感”を聞くインターネット調査を実施いたしました。

調査結果サマリー

  • 新型コロナ流行前より、在宅時間が増えたとの回答割合は「31.4%」。減ったとの回答割合を20%以上上回る。
  • 在宅時間の中で、増えたとの回答割合が多かった項目は、「インターネット配信動画の視聴(35.8%)」「動画・SNS以外のインターネット利用(25.5%)」「(在宅の)仕事(25.4%)」など。
  • 在宅時間が増えたとの回答割合は、「女性-20代後半」「女性-30代」「女性-60代前半」の順に高い。一方、「女性-40代」「女性-50代」は、増えたとの回答割合が同年代の男性を下回る。
  • 外出頻度の中で、減ったとの回答割合が多かった項目は、「(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会(47.1%)」「友人・知人のお出かけ(42.6%)」「海外旅行(37.8%)」など。
  • 外出頻度の中で、これから増やしたいとの回答が多かった項目は、「泊まりの旅行(国内)」「日帰り旅行(国内)」。減らしたいとの回答が上回ったのは、「職場(学校)へ行く」。

調査結果詳細

今回の調査では、25歳から64歳の男女計1,000人を対象として、今年(2023年)前半と、新型コロナ流行前(~2019年まで)の同じ頃を比較してもらう形で、在宅時間・外出頻度の変化をどのように感じるか?を聞く質問を行った。

最初の設問では「在宅時間」を対象に、在宅時間全体と、個別の時間項目をいくつか例示する形で質問を行っている。

次のグラフは、自身の生活に当てはまらない(「該当しない」)との回答を分母から除外し、「増えた(大きく増えた・増えた・やや増えた)」の回答割合をプラス方向に、「減った(大きく減った・減った・やや減った)」の回答割合をマイナス方向にプロットしたものである。

今年(2023年)前半と新型コロナ流行前(~2019年まで)との「在宅時間」の実感比較

* 設問の選択肢は、「大きく増えた・増えた・やや増えた・どちらでもない・やや減った・減った・大きく減った・該当しない」の8枝
* 「該当しない」との回答を分母から除外しているため、グラフの実際の「n数」は、各項目ごとに異なる。

「在宅時間全体」では、プラス(増えた)方向の合計割合が「31.4%」、マイナス(減った)方向の合計割合が「9.4%」となっており、新型コロナ流行前より在宅時間が増えたと感じている人が、20%以上多いことが分かる。

個別の項目では、プラス方向の割合で「インターネット配信動画の視聴(35.8%)」が他の項目に10ポイント以上の差をつけて高く、続いて「動画・SNS以外のインターネット利用(25.5%)」「(在宅の)仕事(25.4%)」となっている。

また、プラス方向からマイナス方向を差し引いた割合では、「インターネット配信動画の視聴」「動画・SNS以外のインターネット利用」の上位2つは変わらないものの、「SNSの利用」が3番目に入り、増加した在宅時間の多くをインターネット時間に当てている姿が浮き彫りになっている。

次のグラフは、上記設問のうち、「在宅時間全体」に関する回答割合を性年代別にプロットしたものである。

【在宅時間全体】今年(2023年)前半と新型コロナ流行前(~2019年まで)との 「在宅時間」の実感比較

最もプラス(増えた)方向の回答割合が多いのは、「女性-20代後半(39.5%)」で、続いて「女性-30代(38.5%)」「女性-60代前半(37.8%)」と、やや女性の方が、在宅時間が増加したとの回答が多い傾向になっている。

一方で、「女性-40代」「女性-50代」では、プラス方向の回答割合が「男性-同年代」を下回っており、単に性別による傾向の違いではなく、女性・男性それぞれの年代において、異なる傾向が現れたものとなっていた。

同様に、プラス方向の回答割合が最も高かった「インターネット配信動画の視聴」の性年代別の割合が、次のグラフである。

【インターネット配信動画の視聴】今年(2023年)前半と新型コロナ流行前(~2019年まで)との「在宅時間」の実感比較

プラス(増えた)方向の割合では、高い方から順に「女性-20代後半(51.2%)」「女性-30代(43.8%)」「女性-40代(40.0%)」と、在宅時間全体よりも「女性-若年世代」で高くなる傾向にあり、特に「女性-20代後半」では、他年代より「大きく増えた」の割合もかなり高くなっていた。

他方、「男性」では、どの年代でもプラス方向の割合が「30%前後」と、あまり年代による違いがない結果となっている。

この「在宅時間」に関する設問の結果からは、3年以上にわたった新型コロナ流行下のいわゆる "巣ごもり” は、リオープンが進む中の生活においても、(少なくとも実感レベルでは)一定以上の人に、当たり前の生活として定着している状況がうかがえるものとなっていた。

また、その傾向は、女性と男性それぞれの年代ごとに異なった様相を見せており、おそらくは、新型コロナ流行直前「ライフステージ」「ワークスタイル」の違いなどが、いまだ色濃く反映しているものと推定され、今後しばらくの間は、性年代ごとの消費動向に、大きな違いを生む可能性もありうる内容となっていた。

加えて、コロナ禍で加速した “withインターネット” の時間の増加は、リオープン後も、特に女性若年世代ほど、強く持続している傾向となっており、(しばらくは一時的に、消費の関心が “家外” に向かうことがあっても...)今後のマーケットの中心は、着実にネット時間の消費に向かっていくことを示唆するものとなっていた。

次の設問では「外出頻度」を対象に、個別の外出項目をいくつか例示する形で質問を行っている。

グラフは、前問と同じく、自身の行動に当てはまらない(「該当しない」)との回答を分母から除外し、「増えた(大きく増えた・増えた・やや増えた)」の回答割合をプラス方向に、「減った(大きく減った・減った・やや減った)」の回答割合をマイナス方向にプロットしたもの。

今年(2023年)前半と新型コロナ流行前(~2019年まで)との「外出頻度」の実感比較

* 設問の選択肢は、「大きく増えた・増えた・やや増えた・どちらでもない・やや減った・減った・大きく減った・該当しない」の8枝
* 「該当しない」との回答を分母から除外しているため、グラフの実際の「n数」は、各項目ごとに異なる。

この設問で、マイナス(減った)方向の合計割合が最も高くなっているのが「(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会(47.1%)」、続いて「友人・知人とのお出かけ(42.6%)」「海外旅行(37.8%)」などとなっている。

また、マイナス方向からプラス(増えた)方向を差し引いた割合でも、この上位3つは同じで、「家族以外との外出」などは、総じて回復が鈍いことを示す結果となっていた。

この設問で、マイナス方向の回答割合が最も高い「(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会」の性年代別の割合が、次のグラフである。

【(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会】 今年(2023年)前半と新型コロナ流行前(~2019年まで)との「外出頻度」の実感比較

マイナス(減った)方向の回答割合が高いのは、「男性-60代前半(58.5%)」「男性-50代(53.5%)」の2つで、男性で次に続く「男性-40代(39.7%)」に、10ポイント以上の差をつける結果となっていた。

一方で、プラス(増えた)方向の割合は、「女性-20代後半(22.7%)」「女性-30代(20.3%)」が高く、女性で続く「女性-40代(8.8%)」に、こちらも10ポイント以上の差をつけている。

最後に、前問と同じ項目を例示し、これから(今年後半-来年)の「外出頻度」をどうしたいか?その意向を聞く質問を行っている。

グラフは、前2問同様、自身の行動に当てはまらない(「該当しない」)との回答を分母から除外し、「増やしたい(大きく増やしたい・増やしたい)」の回答割合をプラス方向に、「減らしたい(大きく減らしたい・減らしたい)」の回答割合をマイナス方向にプロットしたもの。

これから(今年後半-来年)の「外出頻度」に関する意向

* 設問の選択肢は、「大きく増やしたい・増やしたい・どちらでもない・減らしたい・大きく減らしたい・分からない・該当しない」の7枝
* 「該当しない」との回答を分母から除外しているため、グラフの実際の「n数」は、各項目ごとに異なる。

プラス(増やしたい)方向の合計割合が高くなっているのは、順に「泊まりの旅行(国内)(40.7%)」、「日帰り旅行(国内)(37.7%)」、「恋人・配偶者・パートナーとのデート(32.1%)」などとなっている。

なお、プラス方向からマイナス(減らしたい)方向を差し引いた割合でも、上位は同じとなっていた。

逆に、マイナス方向の合計割合が高くなっているのは、「(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会(18.4%)」「職場(学校)へ行く(16.6%)」の順で、この2項目のみ、プラス方向よりマイナス方向の割合が高くなっていた。(特に、「職場(学校)へ行く」にその傾向が著しい。)

この設問で、プラスよりマイナス方向の回答割合が高くなっている「職場(学校)へ行く」の性年代別の割合が、次のグラフである。

【職場(学校)へ行く】これから(今年後半-来年)の「外出頻度」に関する意向

マイナス(減らしたい)方向の割合では、「女性-20代後半(34.2%)」「女性-30代(26.8%)」で高く、続いて「男性-60代前半(21.3%)」となっている。

一方で、プラス(増やしたい)方向の割合でも、「女性-20代後半(15.8%)」が最も高く、「男性-20代後半(13.6%)」「女性-40代(10.3%)」の順となっている。

この点、「男性-20代後半」も両方の割合が比較的高く「20代」では、「働き方」に求める価値観が、2分化している様子が見て取れる。

「外出頻度」に関する2つの設問の結果からは、今年前半でまだ減少実感の高い項目の中でも、「国内旅行」「友人・知人とのお出かけ」などは、今後の意向が強く、さらなる回復も期待できる一方で、「外食」の意向は、そこまで強く戻っておらず、(リオープンによる一時的な活況があったとしても...)厳しい状況が続く可能性もあり、ポストコロナの消費動向として明暗が示唆される内容となっていた。

また、特に「仕事関連」目的の外出は、今後の意向低下が際立っており、この調査でも、ビジネス客をターゲットとするカフェや居酒屋などの厳しいビジネス環境継続を裏付けるものとなっていた。

一方で、企業側は、“生産性向上” や “帰属意識醸成” などの観点で、従業員に出社を求める傾向も強まっており、と同時に、一部の若年世代などに、「出社」や「仕事関連のコミュニケーション機会」創出への期待値も垣間見えることから... “在宅⇔出社のリバランス” の模索とともに、この周辺に、ポストコロナに適応した新たなサービス...例えば、飲み会に替わるビジネスコミュニケーション機会を創るサービス...などの誕生にも期待したいところである。

なお、当社では、今回の調査レポートに詳細を掲載していない項目の性年代別データなども保有しております。

また、企業様のマーケティング支援・サービス開発のサポートなども行っておりますので、ご興味のある方は、お問い合わせフォームからお問い合わせ・ご相談ください。

調査概要

在宅時間・外出頻度の変化に関する意識調査

調査方法 インターネット調査
調査期間 2023年8月1日 - 2日
調査対象者 全国25歳 - 64歳男女
(アイブリッジ(株)「Freeasy提携パネル」利用)
有効回答数 1,000サンプル
※性年代別に均等割付
設問数 3問

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