Business&Marketing Column
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ビジネストレンド
2022
2022.01.15
残念ながら...新年2022年も、(感染力の強いオミクロン株の国内流入で)新型コロナの感染者数急増のニュースで年初をスタートする形になってしまいました。
ただし、コロナ禍での生活もほぼ丸2年。
そろそろパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(地域的流行)への移行も近いと信じて、本日は、2022年のビジネストレンドの兆しを、ビジネス環境も激変したココ2年の検索ボリュームの推移から探って見たいと思います。
1. 「メタバース」の検索トレンド(需要)の変化
2022年のビジネストレンドあるいはトレンドワードに関しては、年末から年初にかけて、既に様々なメディアをにぎわしていると思います。
本コラムで取り上げるキーワードに関しては、それらのメディア記事も参考にチョイスしつつ、今後2022年を代表するトレンドワードになりそうなのか?それとも、一過性のブームで終焉しそうなキーワードなのか?について、2020-2021年のGoogleトレンドの検索インタレストの変化を元に考察していくこととします。(本コラムでは毎度おなじみの手法ですね。)
最初は、Facebook, Inc.の社名変更で話題になった「メタバース」です。
このキーワードの検索需要は、メタ(Meta Platforms, Inc.)への社名変更が報道され始めた昨年10月中旬に一気に急伸し、Facebookから正式発表のあった10月下旬に一度ピークをつけて、その後は、概ね横ばい程度の推移を続けています。
グラフ①からは、ピークが高く分かりづらいですが、実際には、(2020年にはほとんど検索需要がなかったのに対して)2021年夏頃からじわじわと検索需要が高まっていたようです。
いわゆるGAFAMの一角を担う企業の社名変更というインパクト性が非常に高い話題で一気に盛り上がったため、一旦は、検索需要も落ち着く可能性があると思われますが、ネット界の巨人が社名を変えてまで本気で取り組むテーマということもありますので、2022年も折にふれ話題になるキーワードになることは間違いないと思われます。
ただし、2003年に登場し一時IT業界の話題を席巻したものの、その後早々にブームが去った「SecondLife」の例もありますので、今後も持続的に、社会に受け入れられるグローバルサービスになるのか?それとも、(賞味期間は少々長いかも知れないですが...)やはり一過性のサービス話題として、徐々に下火になって行ってしまうのか?今後もこのテーマのトレンドには要注目です。
2. 「NFT(Non-Fungible Token)」の検索トレンドの変化
続いても、2021年後半にかけて盛り上がりを見せた「nft」の検索需要の推移を取り上げます。
グラフ②では、その技術基盤となっている「ブロックチェーン」の推移と併せて掲載しています。
グラフでは、(「メタバース」同様、2020年中はほぼ検索需要がなかったものの)2021年になり、2月中~下旬に一度検索需要が高まり、8月中~下旬を契機に本格的に検索需要が立ち上がっていってく姿が確認できます。
この検索需要の右肩上がりの推移に加えて、現実世界を侵食するデジタル世界の急速な拡張と、同時にアーティストなどの収益機会の縮減という社会・経済的背景を鑑みると、2022年もこのトレンドは、さらに一層勢いを増していくのではないか?と推測しています。
一方で、「ブロックチェーン」については、2020年も2021年も、概ね同一のレンジ内で推移していることが見受けられます。
このことから、こちらの用語に関しては、もはやトレンドではなく、(特にITや金融業界内では)一般用語として定着してきているものと推察されます。この点、「NFT」も同様のポジションを確立できるか?は、今年、2022年のビジネスシーンでの展開にかかっているのかもしれません。
3. 「脱炭素」「EV」の検索トレンドの変化
2020-2021年は、コロナ禍でエッセンシャルワーカーの役割・待遇に注目が集まるなど様々な社会課題の存在が、改めてあぶり出されるようになった年であると同時に、世界各地で頻発した酷暑、洪水、森林火災などの自然災害により著しく気候変動の恐ろしさに注目が集まった年でした。
そうした中で迎える2022年は、ビジネス・企業環境にとっても「SDGs」「ESG経営」に代表されるサステナブルな社会・環境への取り組みに、かつてない関心が高まっている中でのスタートだと言えると思います。
そこで、次からは、それら持続的社会・環境への取り組みに関するテーマの検索需要を取り上げて見ることにします。
最初は、気候変動に関わるキーワードとしての「脱炭素」と「ev」です。
まず「脱炭素」に関しては、菅政権が「2050までの脱炭素社会実現」を掲げるようになる2020年10月ごろより検索需要が盛り上がるようになり、そして2021年は、一貫して2020年を大きく上回り、かつ右肩上がりのトレンドを描いています。
欧米(特にヨーロッパ主導)で先行して大きく関心が高まっていたテーマですが、日本でも“官(政策)”主導の盛り上がりから、グローバルにビジネスを展開するために必須のテーマとして、民間にもそのトレンドが浸透しつつあるようです。
2022年今後も、一大ビジネステーマの一つとして、社会的関心(検索需要)を集めていくのではないでしょうか?
一方の「ev」に関しては、2020年後半、検索需要がやや上向きのトレンドを描いていたものの、2021年に入ると概ね横ばい水準の動きを示していました。
ところが、12月14日にトヨタ自動車が「バッテリーEV戦略に関する説明会」を開催すると、それに併せて、検索需要も一気に跳ね上がる動きを見せています。
さすがトヨタ自動車さんのインパクト!といったところですが...2022年の日本での「EV」への関心が「欧州」「中国」レベルのテーマとして継続していくのか?あるいは、まだ普及はもう少し先のこととして、一般的なトレンドとして、これ以上盛り上がるまでは行かないのか?は、このグラフからだけは微妙なトコロと思われます。
4. 「ダイバーシティ」「LGBTQ」の検索トレンドの変化
次に、多様性を認める社会テーマでの「ダイバーシティ」と「lgbtq」を取り上げます。
「ダイバーシティ」に関しては、用語自体として、それほど目新しいものではないこともあるためか?2020年と比較すれば、2021年の検索ボリュームは、やや上回る傾向にあるものの、明確な上昇トレンドを描いていません。
なお、グラフ④にはありませんが、ダイバーシティの対として使用されることの多い「インクルージョン」を調べてみても、そこまで明確な上昇トレンドを描くまでには至っていないようです。
トレンドワードというよりは、当たり前の状態を示す用語として、これからも一定かつ安定的な推移を示していくテーマかも知れません。
一方で、セクシュアルマイノリティを示す「lgbtq」に関しては、特に2021年5月ごろより検索需要が大きく伸長し、上昇トレンドを示すようになっています。
この点、「lgbtq」以前に、比較的使用されていた「lgbt」と用語の置き換えが進んでいることが一因のようですので、2022年今後もこの用語の浸透が進んでいくのか?また、新たな多様性のあり方を加えた用語が誕生するのか?今後の推移と用語の変化を注目していきたいと思います。
5. 「リカレント教育」「リスキリング」の検索トレンドの変化
最後に、個人としても持続的な社会生活の維持に必要とされる“学び直し”の機会を示す2つのキーワードを取り上げます。
●「リカレント教育」学校教育から卒業し社会に出た後も、それぞれ人生に必要なタイミングで再び教育を受ける場に戻り、仕事中心の時期と学習中心の時期を繰り返すことです。日本では、働きながら、大学などに通うスタイルもリカレント教育に含まれることがあるようです。
→ 急速なデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に対応する企業の人材戦略としても注目されています。
「リカレント」は、2021年11月-12月にかけて2度ほど検索ボリュームが急上昇するグラフを描いていますが、通年では、2020年とそれほど検索ボリュームに差がなく、上昇トレンドに入ったと言えるようなグラフにはまだなっていません。
この点、このまま社会的関心を集めるトレンドワードになっていくかどうか?に関しては、会社を一旦ヤメテ学び直しの機会を得るニュアンスの強いこの用語は、現実のハードルが高過ぎるのかも知れません。
一方、「リスキリング」に関しては、2020年はほぼ検索需要がなかったものの、2021年に入り、特に8月以後明らかに以前とは異なる検索ボリュームを見せるようになってきています。(まだまだ検索ボリュームが少ないため、一概には言い切れないところもありますが...)
2022年は、企業とともに、我々自身も否応なくDXの波に適応していくことが、これまで以上に必要な年になることは確実と思われますので、本日取り上げた用語の中では、最も2022年を代表するトレンドワードの一つになるかも知れないと感じています。
以上、本日のコラムでは、Googleトレンドのデータを使用する都合上、“過去に一定の検索ボリュームのあった”キーワードを取り上げましたが...「グリーントランスフォーメーション(GX)」「パーパス経営」「フェムテック」そして「リジェネラティブ」など2021年までは検索需要が一定以下のキーワードが、今年の年末頃に、2022年の1年を代表するトレンドワードとして社会を賑わせている可能性も大いにあると思います。
その点は、新たなトレンドテーマの登場とその用語の栄枯盛衰にも注目して、また改めて、1年を振り返ってみたいと思います。