Survey Reports

ふだんニュースや情報を知るメディアは「YouTube」「Yahoo!」「Google」。利用者の情報への信頼度は「新聞」が最も高く、「TV」のみ、全体より順位が低下。

情報メディアの信頼性等に関する生活者調査 - 生活者のリアルなメディア認識を探る

インターネット調査

情報メディア

ファクトチェック

2025.02.22

2024年は、日本でも『SNSによる情報拡散が、注目を集める選挙の投票行動を大きく左右した!?』ことが議論を巻き起こすなど...SNSやインターネットを通じて広まる情報の真偽や正確性の影響に注目が集まる1年となりました。

情報の信頼性に生じた、生活者のこうした『❓』は、TVや新聞、雑誌など従来型メディアも巻き込み、情報メディアへの認識に大きな揺らぎを生じさせています。

そしてこの状況は、(広告・PRやマーケティング活動などで)情報メディアと適切な関係を築く必要がある多くの企業にとって無縁のことではありません。

今回、企業のマーケティング戦略立案・実行支援などを手掛けるLifeTimeTechLabo Inc.は、各種情報メディアに対する生活者の ”リアルな認識・行動” の一端を理解するため、TV・新聞・SNS・Webサイトなどで配信される情報の信頼度や、ファクトチェックの意識、SNSへの投稿行動などを生活者に聞くインターネット調査を実施いたしました。

調査結果サマリー

  • ふだんの情報収集に利用しているメディア *1 として、最も多く挙がったのが「YouTube(72.6%)」。続いて「Yahoo!(69.6%)」「Google(67.1%)」「Line(62.6%)」。TV各局がそれに続く。
  • 情報を信頼している割合 *2 は、回答者全体では「TV」が最も高い(29.6%)。一方で、そのメディア利用者に限定すると、「新聞」の割合が最も高く(53.5%)、2番目に「ラジオ(51.0%)」で、「TV」は3番目(42.7%)。
  • 個別メディアでは、メディア利用者の信頼している割合が高い順に「日本経済新聞」「朝日新聞」「NHK」が並ぶ。逆に、信頼していない順 *3 では「X(旧:twitter)」「facebook」「YouTube」とSNSの各メディアが並ぶ。
  • ニュースなどに接した際、自身でファクトチェックを行うか?の設問で、「行うことはない」の回答は30%未満(26.9%)。メディア利用者ごとの集計では、「ラジオ」「雑誌」利用者で、「行うようにしている *4 」の割合が高い。
  • ニュースなどのSNSへの投稿経験を聞く設問で、「真偽や正確性を確かめずに...」「真偽や正確性に疑問を感じたが...」「偽情報や不正確の情報と認識していたが...」投稿したことがあるとの回答が、全体の15.4% *5 存在。

*1:利用時間[1日/30分未満]~[1日/3時間以上]の合計割合

*2:[とても信頼している][信頼している][やや信頼している]の合計割合

*3:[全く信頼していない][信頼していない][やや信頼していない]の合計割合による順位

*4:[必ず行うようにしている][できるだけ行うようにしている][必要と思う時は行うようにしている][気が向いたら行うようにしている]の合計割合

*5:複数選択式の設問のため、いずれか回答の人数割合[重複排除]

調査結果詳細

今回の調査では、関東・東海・関西の1都2府9県 *6 在住の20歳から69歳までの男女計800人を対象として、TV・ラジオ・新聞・SNS・Webサイト(アプリ)・雑誌 *7 に対する信頼度や、ファクトチェックの意識、SNSへの投稿行動などを聞く質問を行った。

*6:埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・岐阜県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県

*7:そのうち「TV」「新聞」「SNS」「Webサイト(アプリ)」に関しては、具体的メディア名を例示して質問

まず第1問では、(各メディアの利用状況を把握するため)具体的メディア名を例示し「ふだん、ニュースを見たり、世の中の情報を知るのに、どの程度利用しているか?」との質問を行った。

次のグラフは、[1日/30分未満]~[1日/3時間以上]の回答を合算した割合(=[利用している]割合) が高い順に並べたものである。

[Q1]ふだん、ニュースを見たり、世の中の情報を知るのに、利用しているメディア(利用時間)

[利用している]割合は、唯一70%を超えた「YouTube(72.6%)」を筆頭に、「Yahoo!(69.6%)」「Google(67.1%)」「LINE(62.6%)」が並び、上位4位までを『SNS』『Webサイト(アプリ)』のインターネット・メディアが独占する結果となった。

その後に続く5位~10位までは、『TV』各局が順に並ぶ結果となっている。

逆に、[利用していない]割合は、順に「産経新聞(91.8%)」「毎日新聞(90.4%)」「グノシー(89.4%)」の順で、その他の『新聞』各紙もすべて、10位以内に入っていた。

この設問では、主たるニュースや情報メディアの地位が、既に『SNS』や『Webサイト(アプリ)』となっている現状が改めて確認できるものとなっている。

一方で、情報ソースとして、概して存在感のある「X(旧:twitter)」や「Instagram」は比較的中位(11、12位)に位置し、(この目的における)ユーザー層は、そこまで広くはないと認識できる結果も示唆的であった。

また他方、いわゆる従来型マスメディアでも明暗が分かれた結果が現れており、『TV』が、いまだ情報メディアとして一定の影響力を保っている一方で、『新聞』の存在感低下が極めて著しいことが、改めて確認できるものとなっていた。

第2問では、前問と同じメディアを対象に「各メディアで配信されるニュースや情報を、どの程度信頼しているか?」との質問を行った。

次のグラフは、その結果を集計し、『TV・ラジオ・新聞・SNS・Webサイト(アプリ)・雑誌』の6分類にまとめた *8 上で、[とても信頼している][信頼している][やや信頼している]の合算値(=[信頼している]割合)の高い順に並べたものである 。

[Q2]各メディアで配信されるニュースや情報の信頼度

*8:[TV]NHK,NNN/NNS系列局,ANN系列局,JNN系列局,TXN系列局,FNN/FNS系列局,その他のTV局
     [新聞]朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,日本経済新聞,産経新聞,その他の新聞
     [SNS]X(旧:twitter),YouTube,facebook,Instagram,LINE,TikTok,その他のSNS
     [Webサイト(アプリ)]Google,Yahoo!,SmartNews,グノシー,MSN,その他のWebサイト・アプリ(SNS除く)

[信頼している]順では、『TV(29.8%)』」が最も高く、僅差で『ラジオ(29.3%)』、それに『新聞(26.7%)』が続く結果となっている。

一方、最下位は『SNS(13.3%)』であった。

続いてのグラフは、この設問の結果を、第1問で、それぞれのメディアを[利用している]と回答した者に限定して集計した結果である 。

[Q2]各メディアで配信されるニュースや情報の信頼度([Q1]当該メディア利用者)

こちらでは、前のグラフとは異なり、『新聞(53.5%)』が最も高く、続いて『ラジオ(51.0%)』『TV(42.7%)』となっていた。

最下位は、こちらも『SNS(25.5%)』である。(また、下位の順位自体に変動はない。)

まず、この2つのグラフの比較で注目するのは、[信頼している]割合の違いである。

どのメディアも、【利用者】の場合は、【(利用者・非利用者含む)全体】より、その信頼度がかなり高くなっていることが明確になっている。

当然と言えば当然の結果であるが、個々の生活者が接する情報メディアが、趣味・嗜好あるいはレコメンド等によって細分化されている現代では、情報認識の分断が起きやすい状況が、この点からも垣間見えるものとなっていたと考えている。

もう一つ、これらのグラフからは、【利用者】と【全体(あるいは非利用者)】で、その信頼度が大きく変化するメディアと、それほど変化しないものがあることも、特徴として現れていた。

『新聞』と『TV』の順位変動が、その代表例で...

『新聞』は、【利用者】の[信頼している]割合が非常に大きく上昇している(【全体】の割合に対して倍以上)のに対し、『TV』は、そこまで大きくは変わっていない。

(やや分かりづらいが同様に、『雑誌』もその差が比較的大きい一方で、『SNS』はその差が最少となっている。)

この点は、自ら購読して情報を得に行く『新聞』や『雑誌』と、自然と情報が流れてくる『TV』や『SNS』の相違等、情報メディアの性質(それに対する生活者の消費態度)などが影響しているものと捉えられる。

今回は、そこまで対象を広げた調査を行っていないが、同じインターネット・メディアでも「無料⇔有料」の違いで、同様の傾向が出るのではないか?と推測している。

なお、この設問の項の最後に、各個別メディアを[信頼している]回答割合の高い順に並べたTOP10グラフと、逆に、[信頼していない *9 ]順に並べたものを参考に掲載しておく 。

[Q2]各メディアで配信されるニュースや情報の信頼度([Q1]当該メディア利用者) [信頼している*]回答割合の高いTOP10

[Q2]各メディアで配信されるニュースや情報の信頼度([Q1]当該メディア利用者) [信頼していない*]回答割合の高いTOP10

*9:[全く信頼していない][信頼していない][やや信頼していない]の合算値

概ね、前述の『メディア6分類』に沿ったランキングとなっているが、[信頼している]TOP5の「グノシー」、[信頼していない]TOP6の「FNN/FNS系列局」など一部例外的と思えるものも見受けられる。

なお、TV局で唯一[信頼していない]方に現れる「FNN/FNS系列局」は、昨年末以後のフジテレビを取り巻く話題も影響しているものと推察される。

続く第3問では、「関心のあるニュースや情報に接した時に、自身で、その情報のファクトチェック *10 を行うことはあるか?」との質問を行っている。

*10:設問に「情報の真偽や正確性、そして根拠の信頼性を検証すること」と補足

次のグラフが、その集計結果である。

[Q3]関心のあるニュースや情報に接した際に、自身でファクトチェックを行うか?

[ファクトチェックを行うことはない]との回答が 26.9% ある一方で、[必ず行うようにしている(7.1%)]、[できるだけ行うようにしている(18.5%)]との回答の【積極的にファクトチェックを行う】割合も全体の約25%を占める。

また、[必ず行うようにしている]~[気が向いたら行うようにしている]までを加えた【何らかのタイミングでファクトチェックを行う】割合は、70%を超えていた。

ここでは、全くファクトチェックを行わない層は、全体の30%未満に過ぎず、過半の生活者は、自身でファクトチェックを行うことが、(その手段や正確性担保の方法までは不明であるが...)ある程度習慣化されている様子が浮かび上がる結果となっている。

次のグラフは、この設問の結果を、第1問の各メディアの利用者に限定して集計し、前問の『メディア6分類』ごとにとりまとめたものである 。

[Q3]関心のあるニュースや情報に接した際に、自身でファクトチェックを行うか?([Q1]当該メディア利用者別)

【何らかのタイミングでファクトチェックを行う】回答割合は、『ラジオ(87.4%)』『雑誌(86.2%)』利用者の順に高く、一方で、『TV(76.8%)』『SNS(76.6%)』『Webサイト(アプリ)(76.6%)』利用者は、それらより10ポイント程度低いものとなっている。

概して、生活者自らがファクトチェックを行う傾向にあることは安心材料と言えるものの、『TV』『SNS』『Webサイト(アプリ)』利用者の【積極的にファクトチェックを行う】層が、他メディア利用者より10ポイント以上低くなっており、インターネットが、いわゆる “フェイクニュース” などが広がりやすい空間であるだけに、今後も注視が必要なポイントと思える結果であった。

最後の第4問では、情報の真偽や正確性に関する選択肢を示し、「関心のあるニュースや情報に接した時に、その情報をSNSに投稿 *11 したことがあるか?」との質問 *12 を行った。

*11:設問に「いわゆるリツイートや引用投稿などを含む」と補足

*12:複数選択式(ただし、「真偽や正確性の分からない情報を、SNSに投稿したことはない」「そもそもSNSに投稿したことがない」の選択肢は排他制御)

次が、その結果を表すグラフになっている。

[Q4]関心のあるニュースや情報に接した際の、SNSへの投稿経験

59.0%が[そもそもSNSに投稿したことがない]との回答で、25.6%が[真偽や正確性の分からない情報を、SNSに投稿したことはない]と、この2つの回答で約85%を占めていた。

他方、[情報の真偽や正確性を確かめずに、投稿したことがある]との回答が 5.9%、[情報の真偽や正確性に疑問を感じたが、投稿したことがある]が 9.0%、[偽情報や不正確な情報だと認識していたが、投稿したことがある]が 5.3%と、結果として【偽情報や不正確な情報の拡散につながりうる投稿をしたことがある】との回答も一定数存在した。

(この3つの【偽情報や不正確な情報の拡散につながりうる投稿をしたことがある】回答の人数割合は、全体の15.4%)

もちろん、5%強存在する[偽情報や不正確な情報と認識した上での投稿]行動は問題ではあるが、フェイクニュース拡散防止などの観点からは、その意図に関わらず【偽情報や不正確な情報の拡散につながりうる投稿】をする者の割合の方が重要と考えられる。

SNSでは、投稿者自身の意図に関係なく、また、投稿者自身に大した影響力がなくても...

その投稿内容が、いわゆる “インフルエンサー”  などによって一旦リポスト・引用投稿されてしまえば、情報が一気に拡散してしまう恐れがあるためである。

そういう意味で、この15%強の存在は、意外と重たい事実と捉えられるのかもしれない。

最後は、第3問と同じく、この設問の結果を各メディア利用者ごとに集計したグラフである。

[Q4]関心のあるニュースや情報に接した際の、SNSへの投稿経験([Q1]当該メディア利用者ごと)

このグラフでは、【偽情報や不正確な情報の拡散につながりうる投稿をしたことがある】との回答割合は、『雑誌』『ラジオ』利用者で、他のメディア利用者よりやや高く現れていた。

第3問と本問2つの結果を併せて見ると...

どちらも『ラジオ』『雑誌』利用者に特徴が見受けられ、【積極的にファクトチェックを行う】傾向が強いと同時に、【偽情報や不正確な情報の拡散につながりうる投稿】もしやすいという一見相反する傾向が現れていた。

この点、今回の調査だけでは、正確なことは断定できないが、この2つのメディア利用者は、“ニュースや世の中の情報への関心(知識欲)が強い” がゆえに、“自分の知ったニュースや情報を他の人にも教えたい” という意識も高く、そうした意識が、この表裏の行動として表れているのかも知れません。

以上で、今回の調査レポートは終了です。
今後、「性別/年代別」などセグメントごとの集計・分析も行う予定ですので、そこで、また面白い発見等があれば、「ダウンロード可能なデータ」として改めてご用意したいと考えております。

その他、当調査に関する質問などは、当社 お問い合わせフォーム からお寄せください。

調査概要

情報メディアの信頼性等に関する生活者調査

調査方法 インターネット調査
調査期間 2025年2月6日
調査対象者 関東(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)
東海(岐阜県・愛知県・三重県)
関西(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県)  在住者
20歳 - 69歳
(アイブリッジ(株)「Freeasy提携パネル」利用)
有効回答数 800サンプル
※性年代別に均等割付
設問数 4問