Business&Marketing Column
おもちゃ
トレカ
マーケット・トレンド
2023.06.15
6月に入り...『おもちゃ市場、初の1兆円超え』などのニュース見出しが躍る国内の玩具市場。
4年ぶりに一般公開された「東京おもちゃショー2023」の開幕。
それに先立つ、(一社)日本玩具協会の「2022年度玩具市場規模調査結果データ」発表により、少子化の進展にも関わらず、好調さが際立つ日本のおもちゃ市場が話題にのぼっています。
今回は、そんな玩具マーケットの動向を、カテゴリ別の推移や人口動態・家計支出などのデータを交えてお届けします。
1. カテゴリ別のおもちゃ市場規模 - 2022年度玩具市場規模調査結果データ -
最初は、前述「2022年度玩具市場規模調査結果データ」から、品目別の市場規模の確認から始めてみます。
上のグラフからは、主要10品目のうち、最も市場規模が大きい「カードゲーム、トレーディングカード」(以下、「トレカ」と簡略)のカテゴリで、市場全体のほぼ1/4を占めていることが分かります。
しかも、続く「知育・教育(13.4%)」や「キャラクター(6.6%)」「のりもの玩具」「季節商品」などのカテゴリとは、比較的大きな差があることが見て取れます。
ちなみに、グラフで約1/3を占める「主要10品目以外」の中では、プラモデルなどが含まれる「ホビー」の割合が高くなっていますので、参考として補足しておきます。
続いて、この主要10品目の10年間の推移グラフを掲載してみます。
* 当年度データ公表時に、比較対象の前年度データが改定されるようですので、2022年度以外は、改定値のデータを用いています。
* 2019年度に品目変更があったため、次の3つの品目の2018年度以前のデータは、それぞれ対応する次の品目名のものを用いています。
○ キャラクター → 男児キャラクター
○ のりもの玩具 → 男児玩具
○ ドール、ままごと→女児玩具
この10年間の伸び率では、「ハイテク系トレンドトイ」「トレカ」が、明らかに2強を形成しています。
そして、この2つのカテゴリ共通で、2020年度から伸び率が急激に高くなっており、特に「トレカ」に、その傾向が顕著に出ていることが特徴です。
これら市場規模の調査データからは、マーケット全体に占める割合が高く、そして伸び率も高い「トレカ」分野が、現在の国内おもちゃ市場を強く牽引していることが良く分かります。
ただし、2020年以後に見られる急伸は、コロナ禍の「巣ごもり」の影響も強く受けてのこと。...と推察されますので、今後も、このままの伸びが続くか?については、やや将来的な疑念も残るトコロです。
...次のようなデータなども併せながら、今後の推移は、注視をしていく必要があるでしょう。
2. 「トレカ」の検索インタレスト推移 - Googleトレンド -
次は、「トレカ」に対する関心動向(変化)を確認するため、Googleトレンドによる検索需要の推移データを参照してみます。
グラフは、キーワード『トレカ』の検索ボリュームの推移を[2019年/2021年/2023年]で比較したものです。
2019年→2021年の初週でおよそ2倍の差、そして、その後もその差を概ね維持の推移。
2021年→2023年のココまでの推移でさらに1.5~2倍程度の差と、検索ボリューム自体も、かなり大きく増加して推移していることが分かります。
では、グローバル(世界的)な関心はどうなっているのでしょうか?...日本との対比で、その推移動向も確認してみます。
こちらのグラフは、[すべての国]を指定して、検索ワード『trading card』の推移を調べたものです。
上記では、2019年→2021年は、日本同様、検索ボリュームが大幅に増加しているものの、2021年→2023年では、ほぼ同水準の推移にとどまっていることが読み取れます。
この検索トレンドのデータからは、日本国内の「トレカ」への関心の高さに、今のトコロ衰えは見受けられません。
しかし、グローバル(世界)では、その関心の高まりが、一定のレベルに収れんしつつあるように認識できます。
トレカ市場は、『ポケモン(カードゲーム)』などのグローバルに人気のキャラクター商品が高いシェアを獲得していることもあり...グローバルの動向なども鑑みると...日本での関心も、いずれ一定レベルに収束していく可能性が高いのでは?と思われます。
さらに言えば、欧米は日本よりも、一足も二足も早くリオープン(経済活動再開)に動いていますので...コロナ禍明けで『うち外』への関心が高まる日本の動向を、先取りしている可能性もそれなりにありそうです。
3. 年代別人口の推移 - 人口推計 -
ココで少し視点を変えて、おもちゃの消費世代にフォーカスするため、まずは、総務省統計局が公表している「人口推計」から年代別の人口構成の変化を確認しておきます。
10年前の2013年と比較して、玩具市場の主要ターゲットとなる「15歳未満」人口は、10%強減少しています。その一つ上の「15-24歳」人口も、やや減少傾向となっています。
一方、団塊世代が含まれる「65歳以上」、そして、団塊ジュニア世代が現在の中核を占める「45-54歳」人口は、10%以上の増加となっています。
おもちゃ市場の好調さも、(いまだ人口増を維持する...)この団塊や団塊ジュニア世代が中心となって “オトナ消費” が支えているのでしょうか?
もう一つのデータから探ってみたいと思います。
4. 世帯当たりのおもちゃ支出 - 全国家計構造調査 -
続いては、おもちゃの消費世代を把握するため、総務省が5年ごとに実施している「全国家計構造調査」から、世帯当たりの支出データを参考にしてみます。
...なお、2019年の調査結果が最新のため、直近「トレカ」「トレンドトイ」などの傾向は反映されていないデータになります。玩具への支出は、二人以上世帯では、「[世帯主]35歳未満」が最も多く、続いて「[世帯主]35-44歳」となっています。
他方、単身世帯でも、「[世帯主]35歳未満」が最も多いことは共通です。ただし、続く2番目が「[世帯主]45-54歳」となっている点が異なります。
また、その支出額も、「[世帯主]35-44歳」や、同年代の二人以上世帯を上回っています。
「[世帯主]35歳未満」、あるいは、二人以上世帯の「[世帯主]35歳-44歳」の支出は、従前からの主要ターゲットである子供消費を示しているものと思われますが...単身世帯の「[世帯主]35歳-54歳」は、明らかに自分のための “オトナ消費” が中心となっているものと考えられます。
そして、2019年よりも、この年代の厚みが増している現在は、「おもちゃ消費」そして、その中核を占める「トレカ消費」を、子供消費(あるいは親子消費)とともに...この世代(特に「単身世帯」)の “オトナ消費” が底上げしているとみて間違いはなさそうです。
ただし、単身世帯の玩具支出は、(「[世帯主]35歳未満」を除き)この年代が突出していますので...団塊ジュニア世代の年齢が、さらに上がった場合にも、この構造が続くのか?推移を見守る必要があるでしょう。
5. スポーツトレカ/カードゲーム市場(グローバル) - QYResearchレポート -
最後に、国内マーケット動向の参考として、グローバルなマーケット動向(予測)を、世界的な産業情報調査会社であるQYResearch(本社:米国)が行っている2つの市場調査レポートから引用しておきます。
* 「Global Sports Trading Card Market Research Report 2023」「Global Trading Card Game Market Research Report 2023」の概要を元に作成
レポートでは、「Global Sports Trading Card」と「Global Trading Card Game」の2つのマーケットとも、2023年からの6年間で、CAGR(年平均成長率)が『5%以上』と、今後も順調な市場成長が予測されています。
このレポートを見る限り、グローバル(世界的)な関連マーケットの将来は明るいと言えます。
...特に「カードゲーム」は、北米と日本が二大市場とされていますので...日本のマーケットにおいても、一定の成長が見込まれているものと推察されます。
最近は、「ポケモンカードゲーム」などの“レアカード高騰”の話題が、たびたびニュースの俎上にあがるなど「トレカ市場」も、やや過熱(バブル!?)が懸念される状況です。
...この点は、本日取り上げたカテゴリ別の市場規模データなどにも、その兆候が表れていると思われます。
...そのため、「トレカ」が牽引する国内のおもちゃ市場も、今後、一旦の踊り場を迎える可能性は高いと考えられますが...
最近のトレンドとして、オリジナルトレカを自作して『推し活アイテム』として利用するなど...トレカの利用シーンやターゲット層に、従来のオトナ消費とは、また異なる広がりが見られます。
それに伴い、グローバルに人気のIP(キャラクターなどの「知的財産」)がマーケットを拡張する潮流などとも相まって...今後も当面は、消費者層をさらに拡大しながら、緩やかな上昇基調を維持していくものと予測しています。
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