Business&Marketing Column

[Fortune Global 500]グローバルTOP企業の売上とその変化

Fortune500

売上ランキング

サスティナビリティ

2020.09.25

前回のコラムで、これからの時代は、「利益」よりも、社会を支える分配余力としての「売上」が重視される時代になるのではないか。ということを述べました。

そこで、実際に、直近、売上を上げているTOP企業の特徴は何か?また、ここ10年で、TOP企業の売上がどのように変化したのか?について、米国フォーチュン誌が毎年発行しているリスト「Fortune Global 500」からグローバルなTOP企業の現状とその変化を見ていきたいと思います。

1. グローバルで総収益(売上)上位の企業

「Fortune Global 500」は、企業を総収益(売上)の多い順に並べたリストです。2020年版を見ると、「1位:ウォールマート」「2位:中国石油化工」「3位:国家電網」と並びます。
上位25位までに入った企業を国別で確認すると、アメリカ:10社、中国:6社、ドイツ:2社で、やはり、アメリカ、中国の2大経済国に売上規模が大きい企業が集まる傾向が認められます。

同じく、上位25位までを業種別で確認すると、石油、電力などのエネルギー関連企業が9社と最も多く、コンピュータ、インターネットに電子機器、通信を加えても4社で、いわゆるオールド銘柄の企業の方が、テック系企業よりも、現時点では、売上規模においては勝っている場合が多いことが分かります。
一方、2010年との比較でみると、「9位:Amazon.com」が総収益で1,000%以上、順位で300位以上「12位:Apple」が総収益で600%以上、順位で200位近く伸ばしているなど、テック系やヘルスケア系の企業が躍進しているのに対し、エネルギー関連企業(特に欧米系の企業)は、順位を落としている企業も多く、総収益の伸びも高くありません。

特に、2020年はコロナ禍の経済停滞も影響して、一時期の急落よりは値を戻しているとはいえ、原油価格は低迷しており、さらに、欧州を中心に、企業に対する補助・支援等に対しても、脱炭素に向けての条件付け(グリーン・リカバリー)が行われている場合も多いことから、石油などの従来型エネルギー関連企業の売上減少傾向は、今後も加速していくものと推測されます。

2. 「Fortune Global 500」にみる日本企業の順位と変化

それでは、同じく「Fortune Global 500」に掲載された日本の企業についても見ていきたいと思います。
まず、目につくのは順位を落としている企業の多さです。日本企業の上位25位のうち、実に60%以上の16社が順位を落としており、グローバルな市場成長の果実を日本企業が享受できていない実態が、ハッキリ分かります。

その中で、2010年と比較して、順位で100位以上、総収益で100%以上伸ばしている企業が「三菱商事」「伊藤忠商事」と「ソフトバンク」です。商社に関しては、この2社以外にも「丸紅」が総収益を大きく伸ばし、この10年の日本企業の売上を牽引する業種になっています。
一方、ソフトバンクに関しては、日本では異質の存在で、(テック系企業という側面もありますが、むしろ)投資会社として大きく売上を伸ばした企業です。(ただし、2019-2020年に限っては、スタートアップ投資の苦戦も続き、ボラティリティの高い収益環境になっていますので、今後も持続的な成長が維持できるのか?そこにマーケットの関心が集まっている状況になっています。)

このリストを見ると、グローバルのランキングで大きく飛躍したテック系企業やヘルスケア系企業が、日本のランキングでは上位に1社も見受けられない点は非常に残念なところです。

3. インターネット業種のTOP企業

最後に、業種を「インターネット」に絞って見てみることにします。
全体の12位にランクされた「Apple」がインターネット業種に分類されていませんが、いわゆるGAFAと称されるアメリカを代表する企業は、当然すべてランクインしています。(ちなみに、最近は、Microsoft(業種:ソフトウェア)の復調により、GAFAMと呼ばれることも多いですが...そのMicrosoftも全体の47位にランクしています。)

この業種でランクインした、その他の企業はすべて「中国」の企業です。

ここには、日本の企業も、欧州の企業もまったく見受けられません。グローバルに簡単につながるインターネットの世界も、売上という観点で言うと、同一文化(あるいは法制度)圏の人口規模を背景とした成長が必要ということかもしれません。それを考えると、この業種で、次に売上上位に顔を出してくる企業は、アメリカ・中国以外では、「インド」や「インドネシア」の企業ということになるかもしれません。